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  トップページ > 教育・文化 > 教育 > 全国商工新聞 第2825号 4月7日付
教育 就学援助
 
  「道徳教育」を異常に強調
改訂学習指導要領の内容と問題点
愛国心を盛り込んだ改悪教基法を具体化

全日本教職員組合副委員長 山口隆さんが解説
 
   文部科学省は2月15日、改訂学習指導要領案を発表しました。現行の学習指導要領を変えて、授業時間や学習内容を増やし、愛国心を盛り込んだ「教育基本法」を具体化するなど、多くの問題が含まれています。内容と問題点について全日本教職員組合の山口隆副委員長が解説します。

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自宅で教科書を読み学習する子どもたち(全教提供)
 子どもたちが学校で使う教科書はこれに基づいて作られるので、学習指導要領というのは、いわば教科書の原本のようなものです。今回の学習指導要領改訂は、三つの大きな問題を持っています。
  第1は、「道徳教育」の異常なまでの強調です。子どもたちが民主的な市民道徳を身につけることは、もちろん大切なことです。しかし、学習指導要領がいう「道徳」は、そうしたものではありません。
  一昨年教育基本法が改悪され、「国を愛する態度」=「愛国心」などが入れ込まれました。今回の学習指導要領は、この改悪教育基本法の下で初めてつくられたものです。ここでいう「道徳」は、「愛国心」や「伝統と文化」などの特定の考え方の押し付けです。
  しかも学校の教育活動のすべてで行えというのは、まるで戦前の教育が「修身」を「筆頭教科」として位置付け、「お国のために死ね」と教えたことを思い起こさせます。しかも、学校に「道徳教育推進教師」なるものを置いて計画立案、点検せよとしていることは、大問題です。
  第2は、「伝統と文化」が強調され、しかもそれが子どもにとって大変難しい学習を強いるものとなっていることです。
  例えば、国語では小・中学校ともに、新しく「伝統的な言語文化に関する事項」というものが置かれ、小学校3・4年生で「易しい文語調の短歌や俳句」の「音読や暗唱」、小学校5・6年生で「古文や漢文、近代以降の文語調の文章」の「内容の大体を知り、音読すること」が求められています。
  第3は、ひどい詰め込みです。改訂学習指導要領は、現行要領の1学年上の教育内容を、たくさん下の学年に下ろしてきています。特に小学校低学年が大変です。例えば小学校2年生の算数を見ると、今は3年生で教えている「ミリリットル、<外字>ζリットル、リットル」や「日、時、分の時間の単位」「正方形、長方形、直角三角形」「箱の形」「1万」などの学習が増やされます。
  小学校3年生の理科では、今の学習内容に加えて「風やゴムの働き」「物と重さ」「身近な自然の観察」の三つが増やされ、学習内容は1・6倍となります。ところが増やされる授業時数は約1・29倍ですから、時間内に教えようとすれば、どうしても詰め込みにならざるを得ません。
  また、授業時数増も大きな問題です。学力「世界一」とされているフィンランドの授業時数が日本より少ないことを見ても、授業時数を増やせば学力が向上するとは一概に言えません。ところが学習指導要領では、小学校低学年で週2時間、高学年と中学生で週1時間授業時数が増やされます。
  そうなると小学校1年生で毎日5時間授業ということになります。小学校に入学したばかりの子どもたちには、大きな負担となるのではないでしょうか。
  これらが子どもに押し付けられたら大変です。学習指導要領を抜本的に見直すこと、子どもと学校に押し付けないことを強く求めていきましょう。
 
 
     
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