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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民年金 > 全国商工新聞 第3276号8月21日付
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社保滞納 職権で換価の猶予=岐阜・岐阜北民商

厚労省要請など運動実る

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厚生労働省に岐阜北年金事務所の強権的な徴収実態を訴える岐阜北民商の仲間ら

 岐阜北年金事務所が社会保険料の分納約束を一方的にほごにし、一括納付をしなければ売掛金の差し押さえを迫る事例が相次ぎました。岐阜北民主商工会(民商)は年金事務所に抗議し、厚生労働省にも実態を訴えて年金事務所長の職権による「換価の猶予」などを認めさせ、差し押さえを解除させました。

「安心して仕事できる」
 社会保険料の強権的な徴収を迫られたのは平田洋さん(仮名)=建設=と前田雄介さん(仮名)=福祉事業。「安心して仕事に打ち込める」と元気を取り戻しています。

担当者変わって納付を迫られる
 平田さんは経営難などから約400万円の社会保険料が滞り、1月に1人で年金事務所に出向き、毎月3万円ずつを分納する計画書を提出しました。2月に入院手術をするなど厳しい中でも毎月の発生分は口座振替にし、滞納分は納付書で納付して年金事務所との約束を守っていました。
 ところが4月になって新しい担当者から「滞納額の半分を年内に納めなければ売掛金を差し押さえる」と通告されました。さらに6月7日、「来所通知書」が配達証明で届き、緊急性を直感した平田さんは納付通知書に書かれていた15万円をかき集めて6月15日に年金事務所へ。しかし、担当者は受け取りを拒否し、取引先2社の売掛金を差し押さえたという内容の「差押謄本」が6月23日付で送られてきました。
 平田さんと民商の仲間の抗議に対して担当者は「滞納分を全額納めてもらう以外、差し押さえは解除できない」との対応に終始。取引先1社とは取引中止に追い込まれました。

「方針変わった」聞く耳持たない
 福祉事業を営む前田さんは介護報酬の引き下げなどで社会保険料の納付が滞るように。毎月、年金事務所に足を運び、事業の実情を伝えながら当月分と滞納分を合わせて10万円ずつの納付を続け、担当者も「社長さんが頑張っているのはよく分かる。5月末提出の決算書ができたら今後のことを相談しましょう」と話していました。ところが4月末、新しい担当者から「7月までに完納できなければ介護報酬を差し押さえる」と言われました。
 平田さんと前田さんは5月29日、民商の仲間と一緒に年金事務所に抗議し、差し押さえ解除・撤回を要望。しかし徴収課長は「4月から方針が変わった」と言って聞く耳を持ちませんでした。
 年金事務所の対応に怒った2人は全国商工団体連合会(全商連)が7月6日に行った厚生労働省への要請に参加して実態を告発。厚生労働省の厚生年金保険適用徴収専門官は「年金事務所は約束したことは守らなければならない義務があり、一方的に約束をほごにしてはいけない」との考えを示し、「実態を調査して適切に対応する」と約束。日本年金機構に2人の滞納整理実務の一時停止を要請するとともに、岐阜北民商にも度々電話を入れて納付計画や猶予手続きについてアドバイスをしてくれました。

差し押さえ解除分納も認められ
 平田さんは7月14日、「納付の猶予」申請書を提出し、「換価の猶予」が認められ、取引先2社にも「差押解除通知」が送られてきました。
 また、前田さんは7月27日に「納付誓約書」を提出。1年間で滞納額を半分にする分納計画が認められ、「差し押さえは行わない」と約束させました。

猶予制度を周知徹底 年金機構が各事務所に指示
 厚生労働省は7月25日、日本年金機構が各年金事務所に対して社会保険料の納付猶予制度を周知徹底することを文書で指示したことを明らかにしました。倉林明子参院議員(共産)に連絡があったものです。指示事項は次のとおり。
 (1)初期対応事業所(※)への電話催告で事業所から納付困難および分割納付の申し出があった場合、申請による換価の猶予を含めた猶予制度の説明を行うこと。
 (2)督促指定期限後の来所通知書送付時に、必ず全事案に「厚生年金保険料等の猶予制度の概要」を同封すること。
 (3)事業主等が来所した際に納付困難および分割納付の申し出があった場合、申請による換価の猶予制度を含めた猶予制度を説明し、「猶予の申請の手引き」「換価の猶予申請書」を手渡すこと。
 注意点として「厚生年金保険料等の猶予制度の概要」「猶予の申請の手引き」「換価の猶予申請書」は年金事務所の窓口等に必ず備付すること。取組対象事業所への電話催告および納付協議の際には必要に応じ、送付または手渡しによって猶予制度の周知を徹底すること。
 同省年金保険局は全国商工団体連合会(全商連)が7月6日に行った要請行動で納付の猶予制度の適用について「国税徴収法にのっとって国税庁と同様の扱いをしている」との見解を示し、「猶予制度の徹底について3点セットで再度、周知を図る」「社会保険料を滞納した事業所などに猶予制度を知らせるリーフを送ることなど検討し、9月までに実施したい」と話していました。
 (※)月初めにおいて納期限が前々月以前の滞納保険料等がなく(ただし、延滞金のみが納付されていない事業所を含む)、かつ納期限内に納付されなかった前月の保険料等がある事業所(滞納発生から3カ月以内に完納が見込まれる場合は除く)。

全国商工新聞(2017年8月21日付)

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