国保滞納
正規の保険証取り戻す=札幌東部民商

全国商工新聞 第3328号9月17日付

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正規の保険証を取り戻した桶本大輔さん(左端)家族と工藤一成会長(右端)

 国民健康保険(国保)料の滞納を理由に、札幌市が桶本大輔さん=建設タイル=と妻のナタリーさんに資格証明書を発行していた問題で、北海道・札幌東部民主商工会(民商)は8月24日、札幌市東区役所と交渉。正規の保険証を取り戻しました。

 桶本さんは2016年から所得が減少、国保料の支払いが滞り、資格証明書が発行されました。数カ月に及ぶ歯痛を我慢し、ナタリーさんが妊娠4カ月になっていましたが、「資格証明書では、病院に行けない」と悩んでいました。
 同業の会員に「民商なら相談に乗ってくれる。俺も解決してもらった」とアドバイスを受けましたが、「もう一度自分でやってみよう」と区役所で事情を説明し相談。「毎月10万円払わないと正規の保険証には戻せない」と追い返され、その足で民商に来所しました。
 事務局員が対応し、昨年の申告書作成資料を基に今年の売り上げや経費を算出。家計収支表も作成した上で、ナタリーさんと区役所へ。担当者に(1)急を要するので今、正規の保険証を発行すること(2)今年度の事業所得は今段階で昨年比40%以上減少しており、今後、昨年並みでも30%以上減少が見込まれるので、みなし減免を申請する-ことを伝えました。
 担当者は「過去にも支払いの誓約不履行があった」「正規の保険証を発行するのは原則全額支払い後、できなければ半額、それもだめなら4分の1の支払いが必要」と札幌市の収納要綱を盾に難色を示しました。これに対し「妊娠の事実を伝え相談に来たが、お金の話ばかりを優先して必要な配慮がなかった。憲法の要請に基づく無料受診制度を設けているにもかかわらず今回の窓口対応は由々しき事態だ」と指摘。「国保は社会保障だ。速やかに正規の保険証を2人に発行することを求める」と訴えました。
 担当者は席を外し、上司らと相談。15分ほどで戻ると「すぐに正規の保険証を発行します」と回答。作成された保険証を受け取り「病院受診で問題なければ9月中に来所する。みなし減免制度適用と余裕のない生活状況を前提に相談するので緩和措置を検討してほしい」と伝えました。
 ナタリーさんは「正規の保険証がもらえるなんて夢のよう。母子手帳の申請も急ぎ、夫もすぐに治療させます」と喜んでいます。

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