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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3131号8月11日付
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「昨年の2倍」「払うと生活保護基準以下」 生活壊す国保料

 今年度から国民健康保険(国保)料の算定方式が「所得方式」(注・旧ただし書き方式)に変更された仙台市、神戸市、広島市では「国保料が2倍になった。計算間違いではないか」「とても払えない」など、市への抗議が殺到しています。各地の民主商工会(民商)は、対市交渉や相談会を機敏に開催。広島市では、市長が「想定ミス」を認め、緩和措置拡大の方針を表明するなどの成果も生まれています。

市長が負担軽減を指示=広島
苦情2万件超
 広島市では算定方式の変更により、国保料が大幅に増える世帯が続出。市には納付通知書が届き始めた6月中旬〜月末までに2万3800件の苦情が寄せられました。
 国保料を支払うと、生活保護基準以下の所得水準になる世帯も生まれ、国保料に年金保険料や税金を合わせると、所得の約4割に達しています(表)。
 憲法25条が保障する生存権破壊の国保料負担であり、市がこのような状態を放置することは許されません。所得方式の計算による国保料が、従来の市民税方式で計算した場合の2倍以上になった世帯に適用される激変緩和措置がありますが、4年間の時限措置。痛みを先送りするだけで根本的な問題解決とはなりません。

払いきれない税・社会保険料負担の実態

実態突き付け
 広島民商など市内4民商が参加する「広島市国保をよくする会」は7月11日、市に対して▽算定方式の抜本改善▽恒常的な緩和措置▽新たな減免制度創設-など5項目を申し入れました。事前の記者会見を報じたテレビや新聞を見て駆けつけた市民など90人超が参加。会の代表世話人で広島民商理事のNさん=不動産貸付=は「算定方法の変更は住民意思を無視しており強権的だ。厳しい生活を強いられた上での保険料引き上げは深刻」と訴えました。
 市保険年金課の森川伸江課長は「算定方式の変更で、予測していなかった部分もあり調査を始めた。結果を踏まえ早急に対応を検討したい」と事前の試算の甘さを認めました。
 一方で「『所得方式』は国が決定しており、変える考えはない」と、算定方式の抜本改善を拒否。「保険料を支払うことで生活保護基準を下回る世帯が出ることがいいとは思っていない。保険料だけの運営には無理があり、国庫負担を増やすよう国に申し入れていく」との認識を示しました。
 参加者は「国の方針に従うだけが地方行政ではない。自らの判断と責任で住民の福祉を守ることが重要」「犠牲者が出てからでは遅い」などと市の姿勢を批判。反貧困ネットワークの秋田智佳子弁護士が「高い保険料に加え、2〜3割の窓口負担が重く、安心して医療にかかれない。『所得方式』は平等というが、各自の支払い能力に応じた応能負担こそ真の平等だ。住民の生活と福祉のために必要な施策を考え、その財源を確保するのが自治体の役割」と指摘すると、大きな拍手がわき起こりました。

運動の成果確信に 60人が減免を申請
 広島市の松井一実市長は7月11日の記者会見で、年内にも負担の緩和措置を拡大する考えを示しました。松井市長は「激変緩和措置の対象以外にも、大幅に保険料が上がる世帯への配慮が足りなかったと言われても仕方ない。早急に要因を分析し、対応策を考える」と述べました。
 会では、市民の世論と運動の急速な高まりが、市を動かしたと評価。7月16日には約60人が参加し、独自の集団減免申請書115通を市に提出。保険年金課長は「みなさんの思いは受け取った。市長から追加の緩和策を急ぐよう指示があり、早急に対応する」と回答しました。広島県の国民健康保険審査会にも、84人が審査請求する予定です。
 会は市民に経過を知らせながら、「払える国保」への転換を粘り強く求めていきます。

▽注:所得方式(旧ただし書き方式)とは
 国保の所得割で、前年の総所得から基礎控除33万円だけを引き、保険料率を掛ける算定方式。仙台市、神戸市、広島市が前年度まで採用していた「市民税方式」では、基礎控除以外にも扶養控除、配偶者控除、医療費控除などが引かれていました。この変更により、これまで市民税が非課税の世帯でも、所得が33万円以上あれば、所得割が発生。また控除額が大きく市民税が低い世帯でも、保険料が大幅に引き上げられました。

国保料4年連続引き下げ=北海道
 北海道・旭川民主商工会(民商)などの粘り強い運動により、北海道の主要都市で最も高かった旭川市の国保料が4年連続で引き下げられました。市のモデルケース(年間所得200万円、3人世帯)では、4年間の引き下げで合計約7万6000円の負担減に。会員や市民から「助かります」との声が寄せられています。
 これは、旭川民商が2010年8〜10月、09〜10年度の2年間で14憶円もの黒字になっている国保料の大幅引き下げを求める請願署名運動を展開したことによる成果。各支部の輪番制による宣伝カーの連日運行、老人クラブへの訪問、街頭宣伝などで大々的に取り組み、1万7351人分を市議会議長に提出し採択されたことによるものです。
 谷川広光会長=板金=は「その後も民商は毎年、国保料値下げを市に要望し続けており、粘り強い運動が実ったもの」と話しています。

算定方式変更され「国保料払えない」相談次々=宮城
 宮城県商工団体連合会(県連)も加盟する「みやぎ国保をよくする会」と宮城県社会保障推進協議会は先ごろ、「国民健康保険なんでも110番」を開設し、仙台市民から61件の相談が寄せられました。
 「昨年は年10万1500円だった国保料が55万2840円に上がった。とても払えない」(理髪店)、「2人世帯で、去年は年20万数千円だったのに、今年は42万4530円になった。計算間違いではないか」、「月2万円台だったのが6万円台になった。自営業2年目。一生懸命働いているのに、こんなに持っていかれると、この先不安でたまらない」などの相談に丁寧に応じました。
 算定方式を変えたことで、仙台市が試算したモデルケースでも、4人世帯・給与収入250万円の世帯の国保料は、昨年の年15万7620円から、今年は年35万4960円(3年間の経過措置で21万1280円)へと倍増。算定方式変更で保険料が増額となる世帯は4万6731世帯と、実に加入世帯の35.3%を占めます。
 会では今後、仙台市との交渉に向け、「高過ぎる国保料を何とかして」の運動を強めていきます。

国保料など税金だけで所得の3割に=防水工事
 夫は一人親方。63歳という年齢や不況の影響もあり、仕事がないときは不安でたまりません。私もヘルパーの仕事をしていますが、わずかな収入です。昨年の国保料は約20万円。今年は約45万円と倍以上です。国保料だけで所得(200万円)の22.5%、所得税や住民税などを合わせると所得の約3割もの負担です。これでは、とても生活できません。私たちの生活を壊す保険料の決定に怒りでいっぱいです。

全国商工新聞(2014年8月11日付)
 

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