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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞第3079号7月15日付
 
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高すぎる国保 軽減できる 負担軽減に民商が奮闘

 国民健康保険(国保)料(税)の納入・決定通知書が6月から送付され、「なぜこんなに高いのか」と各地で悲鳴が上がっています。神奈川・相模原民主商工会(民商)は「高過ぎる国保税の減免は加入者の権利」と対市交渉と集団減免申請を行い、相次いで国保税減免を実現して、市の減免要件の拡充(図1)をかちとっています。

図1

国保税減免 適用基準ひろげフル活用=神奈川・相模原

 6月24日午後7時すぎ、仕事を終えた会員らが民商事務所2階の会議室に集まりました。事務所に市職員を呼んで行う国保税の対市交渉は今年で15年目。集団減免申請には25人が参加、8人が減免を申請しました。

 実態示して市を動かす
 今年、新たな減免要件の拡充が実現しました。クリーニング店主は昨年の申請では減免が認められませんでした。同居の息子さんが社会保険に加入しているため、というのがその理由。収入が世帯合算され減免要件に該当しないと判断されました。「社保加入の息子と自分たちの保険は別だ。減免を認めるべき」と昨年6月の交渉の場で強く要請しました。
 その後8月に開かれた国保運営協議会で「社会保険に加入する同居家族の収入は世帯合算しない」とする減免要件の拡充が確認され、12月議会で条例が改正されました。
 クリーニング店主の年所得百数十万円に対して、保険税額は18万円。6月は衣更えの時期ですが、近年は売り上げが伸びません。「不況で衣料品をクリーニングに出す家庭は少なくなり、売り上げが減っている。これ以上の負担には耐えられない」と申請書を提出しました。
 「市の担当者には、現状を理解してもらいたい」と申請書を手渡した整体業者は、初めての減免申請。年200万円の所得に対して34万8000円の保険税となりました。昨年比で約10万円増え、年所得の17%超の負担です。「払っているのは国保だけではない。住民税や年金なども合わせると、とても払える金額ではない」と表情を曇らせました。
 七つのホテルでルームサービスのマッサージ契約を結んでいますが、宿泊客の財布のひもは固く、1件も注文がない日もあります。育ち盛りの子ども3人を育てながらの生活に余裕はありません。

 値上げやめ傷病手当を
 今年度、相模原市は「医療費増加による国保財政の厳しさ」などを理由に1世帯当たり平均7100円、一人当たり平均4200円を引き上げました。対市交渉では「国保税が高いという認識はあるのか」という参加者の問いに対し、出席した市担当幹部は「市から国保会計に繰り入れを行うことで国保税額は適正な水準となっている」と強弁。「中小業者の現状を分かっていない」など厳しい声をあびました。
 15年間続けられている対市交渉・集団減免申請は、相模原市の国保税減免基準を拡充する力になっています。減免に該当する「失業・休廃業・事業不振」「生活困窮」の適用基準を「被保険者の…見込所得額が、基準生活費(生活保護基準)の130%以下」としています。民商の粘り強い要請によって09年に120%以下の基準から拡大されました。
 減免基準算定の基礎となる所得の算出にあたって、家賃や事業に関わる借り入れの返済額を経費と認定させたのも要請の成果。今回の要請では住宅ローンを経費とすること、前年所得比30%減収を減免要件としないことを求めました。
 鈴木秀子会長=助産院=は「中小業者は力を合せてこそ要求実現ができる。今後も集まって話し合うことを大切にし、声を上げていきたい」と力を込めました。

国庫負担の増額を
 全商連が各党に提案
 なぜ国保料(税)はこれほど高いのでしょうか。最大の要因は国庫負担の引き下げです。国は1984年の国民健康保険法「改正」により、それまで5割だった国庫負担率を24・8%(2011年度)までに半減(図2)。まさに国保に対する国の責任の後退です。
 さらに都道府県から市町村国保への支出金も大きく削られています。東京都では1995年に324億円あった支出金が10年には41億円に、愛知県では28億円が1億8000万円、北海道は12億円だった支出金がゼロになるなど、都道府県支出金の後退が市町村国保財政をさらに厳しくしています。

図2

 国庫負担削減が「国保世帯の貧困化」と併せて進んでいることも事態を深刻化させています。1990年代後半から、リストラや非正規雇用の増大によって失業者や非正規労働者の国保加入が増加。不況や規制緩和によって自営業者の経営難・廃業が加速し、国保加入者の貧困化が進みました。
 1984年当時、国保加入世帯の平均所得は179万円でしたが、09年には158万円に減少。逆に1人当たり保険料は約4万円から約9万円となり、多くの滞納者を生む要因となっています。
 強引な徴収も大きな問題です。厚生労働省は収納率向上のために銀行口座や営業用財産の差し押さえなどを推奨。また行政の「効率化・広域化」を求める国の指導の下で、徴収業務の民間委託が進められ「地方税回収機構」などの広域組織がつくられています。「機構」による国保料(税)と住民税などを一体に徴収するなかで、問答無用の差し押さえが横行しています。
 自治体首長からも国庫負担引き上げを求める声が上がっています。全国知事会などが主催する「国保制度改善強化全国大会」は「従来の枠を超えた国庫負担割合の引き上げ」(10年)「国保財政の安定化のため国庫負担の拡充・強化を」(11年)と決議しました。

 日本共産党賛意を表明
 全国商工団体連合会(全商連)は参院選の「五つの提案」に、国保への国庫負担を総医療費の45%に戻すこと、払いきれない保険料(税)の滞納者への差し押さえをやめ、納税緩和措置の速やかな適用を徹底することを盛り込み、各政党に届けました。6月28日、日本共産党から賛意が寄せられました。

 各地の民主商工会(民商)は、高過ぎる国民健康保険(国保)料(税)の負担を軽減しようと、集団減免申請に取り組んでいます。また地域で「相談会」を開き、国保料の支払い困難な事例を解決。自治体との交渉では業者の実態を突き付け、高過ぎる国保料(税)の引き下げと減免制度の拡充を求めています。

国保料減免 申請に向けて相談相次ぐ=大阪・福島

 大阪・福島民商には国保問題で続々と相談者が訪れています。6月は相談・減免申請を通じて4人が民商に入会しています。
 昨年10月に美容院をオープンしたOさんは、知人から紹介を受けて民商を訪れました。昨年の給与収入168万円と事業所得が100万円だったOさんは、所得税が8万円であることは申告時に確認していましたが、6月になり住民税16万円と国保料28万円の通知に驚きました。
 6月17日に民商に相談し、所得税や住民税、国保料がどのように決まるのかなどのアドバイスを受けて、24日に区に国保料の減免申請をしました。その場で毎月の支払いが28000円から21000円に引き下がり、「これからは記帳も勉強したい」と入会しました。
 Nさんは営業不振で所得が減少、妻がパート勤務に出て家計を支えています。
 昨年の世帯所得は約315万円。6月14日に届いた通知で年間の国保料が42万7000円でした。「これではとても払えない」と悩んでいたとき、新聞に折り込まれたビラで民商の「国保相談会」を知り、6月25日に相談会に参加。そこで所得が前年比3割以上の減少ならば国保料が減額となることを知りました。
 7月1日に民商役員と一緒に区役所へ行き、所得が減少する事情を区に説明。月4万2690円の支払いを1万7100円に引き下げることができました。
 民商は国保料の通知が届いて以降の6日間、区役所前で宣伝・対話行動をしました。副会長2人を先頭に「国保ビラ」を延べ686枚を配付。「国保料高いことないですか」と声をかけると、多くの人から「高くてかなわない。なんとかしてほしい」の声が寄せられました。
 「高すぎる国保料を引き下げろという声を上げましょう」「自営業者なら『事業不振』は減免となります。ぜひ相談を」と心を込めて対話し、会員も含め18人が相談に訪れ、4人が入会しています。

国保料減免 集団申請で適用実施=京都・山科

 京都・山科民商は6月26日、国保料の集団減免申請を行い8人が参加しました。
 民商の集団減免の取り組みは毎年行っているもの。今回は申請した全員が減免となっています。
 申請では、売り上げや経費の中身を細かく説明。あるサービス業の会員は「所得95万円に対して国保料が25万円。これに加えて国民年金や固定資産税などを払えば、手元に残る生活資金はわずか。なんとかしてほしい」と訴え、減免条例の所得減少に該当するとして年17万円に引き下げることができました。
 またある会員は「国保料が高すぎて、支払うために生活費を削っている。減免で年間の国保料が半分になって助かった」と話しています。
 7月24日には2回目の減免申請を予定しており、国保料の支払いに困っている人の参加を呼びかけています。

国保料徴収 強権的対応やめよ 市へ申入れ=大阪

 大阪商工団体連合会(大商連)が参加する「大阪市の国保をよくする会」(代表・森野一志大商連副会長)は6月26日、大阪市福祉局と国保問題で交渉し51人が参加しました。強権的な徴収や減免制度の改悪について姿勢を正しました。
 市内では特別児童扶養手当を狙った滞納処分や分納相談中の差し押さえなどの不当な事例が広がっています。交渉参加者は「鳥取地裁判決の趣旨を踏まえ強権的な滞納処分を見直すつもりがあるのか」と迫りました。市は「判決は知っているが確定ではない」と見直す考えはないことを明らかにしました。
 生活困窮者への滞納処分の停止を積極的に行うとする市の通知がある一方、窓口では「福祉局に相談しないとできない」などの対応がある実態を示すと、「真摯に対応するよう説明する」と改善を約束しました。
 交渉では減免制度の改悪が進められていることも明らかになりました。「経営不振による減免」では、これまで減免申請の時期に関わらずさかのぼって適用されていましたが、今後はさかのぼって減免する対象を6月申請分に限定すると回答。申請時期によって不平等が生じる可能性が出てきました。
 「申請時期による判断ではなく、生活実態や負担能力によって減免すべき」と制度の後退に怒りの声が上がりました。
 市は「申請が遅れた場合は事情を聞いて対応する。同じ条件で不利益が出てはならない」と回答しました。

国保料減免 制度周知へ市がチラシ配布=大阪・四条畷

 大阪府四条畷市は、6月の国保料算定通知を発送する際に、通知書に減免を知らせるチラシを同封させています。
 市の国保条例減免制度は、減免要件として、母子・父子家庭、障害者、高齢者、扶養家族4人以上がいる世帯などについて減免がされるなど、府内自治体の中でも、その対象の広さは群を抜くものとなっています。
 しかし昨年4月に大商連も参加する大阪社会保障推進協議会が行った「国保相談会」に訪れた市民からは「こんな制度があるとは知らなかった」などの声が寄せられ、減免制度がほとんど知らされていない実態が明らかになりました。
 これを受けて4月19日、支援者を含め100人が参加して対市交渉を行い、「減免条例の内容を広く知らせるべき」と市に対して周知徹底を求めました。

全国商工新聞(2013年7月15日付)
 
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