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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第2966号 3月14日付
 
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高すぎる国保料 市に抗議
分納中に差押なんて無茶や!=大阪

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300人が参加した「大阪市の国保をよくする実行委員会」の市役所包囲行動。大阪市内の25民商が参加しました。

 「分納しているのに差し押さえをするなんて、むちゃくちゃや」―。高すぎる国保料が払えず、やむを得ず滞納に追い込まれた中小業者に、問答無用の差し押さえを強行する大阪市の国保行政に怒りが噴き出しています。営業と暮らしを脅かし、命を奪うものであり、大阪市の暴挙をはね返したいと中小業者、市民が立ち上がっています。

 「大阪市にモノ申す」―。大阪商工団体連合会(大商連)も参加する「大阪市の国保をよくする実行委員会」などは2月17日、大阪市役所包囲行動を展開しました。民主商工会(民商)ののぼり旗が林立したこの行動には、民商会員をはじめ300人が集まり、怒りの声を上げました。

表1 急増する大阪市の国保料の滞納処分

分納していたが
 勇気を出して差し押さえの実態を告発したのは、港民商のAさん=鉄工。国保料を一度に全額払えず、長年、毎月3万円ほどを分納し、必死に払ってきました。2010年度の国保料は所得190万円に対して約35万円にも。昨年12月7日、滞納している47万円(4年分)を15日までに一括で払わなければ、“財産”を差し押さえるという「差押の予告」が届きました。昨年春、借り入れ、口座に残っていた運転資金50万円が差し押さえの対象になったのです。
 港区役所に何度も出向き分割納付を相談しましたが、「一括納付ができないなら、死ねということですか」とAさんが迫ると担当者は「そういうことになる」と否定しませんでした。怒りで体が震えましたが、「口座を押さえられると仕事ができない」と商売に必要な運転資金を一括納付に充てました。

所得の2割にも
 大阪市は06年度に所得割を「住民税方式」から低所得者ほど負担が重くなる「旧ただし書き方式」に変更し、国保料が一気に跳ね上がりました。加入世帯の8割以上が所得200万円以下。にもかかわらず、所得200万円で4人家族の場合、国保料は38万円にも上り、所得の19%を占めるという高さです。払えない世帯が増え、収納率は83%にまで落ち込んでいます。
 これまで各区役所では分納に応じていました。その対応が一変したのは昨年秋、大阪市が国保料徴収を強化する「国保料収納特別チーム」を立ち上げてから。分納はいっさい認めず、7期以上滞納していれば無差別に財産調査をし、05年に3864件だった調査は、10年度には5万4627件に急増しました。「差押の予告」を送りつけ、差し押さえを強行しました(表1)。
 「約束どおり払っているのに、なぜ差し押さえをするのか」。平野民商のBさんは憤っています。これまで平野区の職員と相談しながら、毎月2万円ずつを分納していましたが、大阪市から1月12日付で「差押の予告」が送られてきました。1月21日までに63万円(3年分)を納付しなければ差し押さえに着手すると書かれていました。 
 納得できないBさんは平松邦夫市長宛てに請願書を提出。「年収300万円に対して43万円の国保料は高すぎて払えない。通知には『再三の勧告にもかかわらず…』と書いてあるが、この2年間、区からの督促状は受け取っていない」と怒りをつづりました。
 しかし、生命保険の差し押さえを告知する「差押調書」が送られてきました。「こんな理不尽なことはない。徹底的にたたかう」と不服申し立てをすることにしています。

学資保険まで
 さらに子どもたちの未来と教育を受ける権利を奪う学資保険の差し押さえが横行。毎月1万円ずつ分納していた福島民商のCさん=飲食=は83万5000円を一括納付しなければと学資保険を対象にされました。国会では日本共産党の志位和夫委員長が、大阪市議会では同党の北山良三議員らがこの問題を追及。Cさんは「必死で積み立ててきた学資保険を差し押さえるなんて。子どもを大学に行かせることも許されないのか」と訴えていました。

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大阪市議会に国保料引き下げなどの署名を提出する「大阪市の国保をよくする実行委員会」の森野代表(中央)

市長動かす世論
 批判の広がりに平松市長は2月25日、「共産党からあった学資保険の差し押さえを改める」と記者会見。「少額の学資保険の苦しい家計の中から子どものために積み立てている場合は留保するなど実情に応じた適切な対応を指示した」ことを明らかにしました。
 同実行委員会の森野一志代表(大商連副会長)は「これまで差し押さえた学資保険を返還すべき。差し押さえの乱発は広域化に向けて収納率を引き上げ、累積赤字を解消するのが狙い。命を守る国保が暮らしを脅かすという制度に豹変している。社会保障としての国保制度を断固守る」と話しています。

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