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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第2861号 1月5日付
 
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「無保険」子どもを無くせ 運動が国を動かす

大阪・北摂地域の民商婦人部
 大阪商工団体連合会(大商連)の北摂地域(摂津市、池田市、吹田市など7市)の民商婦人部は「無保険」の子どもをなくせと運動。子どもに保険証を交付する自治体が全国に広がり、衆院厚生労働委員会は昨年12月10日、中学生以下の子どもがいる世帯には一律に短期保険証を交付する国保法改正案を可決しました。


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「無保険」の子どもをなくす運動を広げた大商連の北摂地域の民商婦人部員ら
 「えっ、保険証のない子どもたちが20人もいるの」。摂津民商婦人部副部長のSさん=建設=は思わず声を上げそうになりました。2年前、摂津民商婦人部が行った摂津市交渉で明らかに。「これまでは、医療を受けられずに亡くなったりする“大人”に目がいっていた。国保証は世帯ごとの交付ですから、子どもたちも『無保険』の状態に置かれているとは分かっていましたが、改めて驚きました」とSさんはいいます。
 冷たい国保行政の転換を必ず―。6年前の2月、摂津民商婦人部の仲間の1人が、市の冷たい窓口対応によって、十分な医療も受けられず亡くなりました。「食事の回数を減らしてでも国保料を払っていた本当にまじめな人でした。受診の機会を奪う資格証明書の増加は許せない」とSさんは振り返ります。
 摂津市では03年度10件だった資格証明書が、06年度には70件と7倍に。「無保険」の子どもたちは摂津市だけなのかと、北摂地域の民商婦人部は情報交換するとともに同地域の自治体をキャラバンし次つぎと交渉。その結果、茨木市の341人を最高に合わせて365人の「無保険」の子どもたちがいることが判明しました。
 「『無保険』の子どもたちをなんとかしたいというのは、母親としての本能なんですわ」と高槻民商のNさん=営繕=は語気を強めます。
 「無保険」の子どもをなくせ、の運動は大阪全体に広がり、08年には民商も加盟する大阪社会保障推進協議会が府下をキャラバン行動。マスコミも大きく取り上げ、全国的な問題に発展しました。
 世論の広がりを受け、厚生労働省が行った全国調査で「無保険」の子どもたちが全国で3万3000人に上ることが判明しました。
 大阪、堺、札幌、福岡、和歌山などで子どもたちに保険証を交付する動きが広がっています。
 キャラバン行動をともにした茨木民商婦人部副部長のSさん=化粧品販売=は言います。「『無保険』の子ども問題は自治体の姿勢によって大きく変わります。子どもたちを守ろうとすれば、親を守らへんとあかん。資格証明書の発行をやめ、高すぎる国保料を引き下げることです。生の声をぶつけて国保行政を変えていきたい」


《資格証明書》国保料が払えず1年以上滞納すると、国保証を取り上げたうえで発行される証明書。病院での窓口の支払いが全額自己負担(保険証の場合は3割負担)となるため受診を抑制、その結果、死亡事故につながる事例さえ生まれるなど大きな社会問題になっています。
   
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