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商工ローン
貸金業「規制」法律案を閣議決定
国民の運動の成果 見直し議論は監視必要
金融被害者の救済急げ
東商連・民商 署名宣伝行動
 例外なく出資法の刑罰金利を利息制限法の制限金利まで引き下げる貸金業法案が10月31日、閣議決定され、臨時国会に提出されました。9月に自民党がまとめた「貸金業法の抜本改正の骨子」が貸金業界寄りだったことから、全国の民商、弁護士、被害者をはじめ広範な国民から強い批判と反対運動が広がり、自民、公明両党がそれに応えざるを得なかったもの。一歩前進とはいえ実施が3年後で、金利は20パーセントと高いなど問題は残されており、たたかいはこれからとの声が挙がっています。
 東京商工団体連合会(東商連)は10月7日、東京・池袋駅前で「金利引き下げ」署名宣伝行動を展開。7民商から30人が参加して「高金利社会をなくし、多重債務者・金融被害者の救済を!」と訴えました。
 当初自民党がまとめていた「改定案」の背景には日米財界の圧力があったとされ、行動はこうした動きを許さず、金利引き下げの流れを広げようと、東商連独自のとりくみとなりました。
 池袋駅周辺には、サラ金の看板がたくさんあり、通行人も多く、板橋、北区、練馬、北沢、豊島、荒川の各民主商工会(民商)の会長らが宣伝カーの上で熱弁をふるい、署名への協力を力強く訴えました。
 目立つ横断幕を広げて、チラシを配りながら署名への協力を呼び掛けると「何の署名ですか?」と聞いてきた人もおり、「サラ金・商工ローンの高金利による多重債務者が増え、一家離散・自殺など痛ましい事件があとを絶たない。私たちは中小業者の営業と暮らしを守るために活動している民商ですが、高金利による被害は、業者のなかでも深刻な問題」と訴えると、「テレビ・新聞でグレーゾーンということは聞いていましたが、話を聞いてよく分かった」と、快く署名してくれる場面もありました。
 参加した人は「私たちの運動と世論が与党を追い込んだ。確信になったが、まだ法が成立しても施行まで3年あるし、サラ金と手を組んだ銀行の問題もある。力をゆるめず、成果を知らせ、実のある法改正をかちとりたい」と決意を新たにしていました。

私も助かった
栃木・佐野民商 田村栄一

 全国の民商や多くの団体、弁護士会などの大きな運動で前進をかちとりました。特例金利の削除など一定の前進もありますが、まだ制限利息の高さなど不十分なところもあり、これからが大切だと思います。
 私も多重債務でしたが、6年前に民商と出合い特定調停で債権者と解決し、毎月の返済が3分の1に。
 その後民商の役員に推薦され、毎週金曜日の多重債務交流会には欠かさず、経験を話しています。
 世論の力や多重債務の解決を望む運動の力でこそ前進したと思います。

特例金利撤回など評価
高金利引き下げ全国連絡会代表幹事弁護士 宇都宮健児さん
 貸金業規制法及び出資法の上限金利の見直しを検討してきた政府は、10月31日、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」を閣議決定しました。
 要綱では、出資法の上限金利を利息制限法の制限金利の上限である年20%へ引き下げ、みなし弁済規定(グレーゾーン金利)を撤廃し、日掛け金融などの特例金利を廃止するとともに、批判の強かった利息制限法の金額区分を変更することによる制限金利の実質引き上げや特例高金利などは盛り込まれていません。
 また、借り手の自殺を保険事故とする生命保険の禁止や公正証書作成にかかる委任状の取得の禁止、利息制限法の制限金利を超える貸付契約についての公正証書の作成嘱託の禁止、年収の3分の1を超える過剰貸し付けの禁止など各種業務規制が強化されており、評価できるものです。
 私たちは、多重債務問題解決のため高金利引き下げを求める各団体と共同で、340万人の高金利引き下げ署名を国会に提出し、43都道府県1100を超える市町村議会で金利引き下げの意見書を採択させ、日弁連と協力して国会を包囲する2000人パレードをおこなうなど、利息制限法の改悪を許さず、例外なき金利引き下げを実現させる運動を全力を挙げてとりくんできました。
 政府与党に利息制限法の制限金利の実質引き上げと特例高金利を撤回させたことは、私たちの運動の大きな勝利です。
 しかし、要綱によると、施行日から2年6カ月以後の見直し規定が置かれており、金利規制の緩和や特例金利復活の可能性もあるので、見直し論議を監視する必要があります。臨時国会において、改正法案が速やかに可決されるよう求めるとともに、3年を待たずに高金利が引き下げられ、グレーゾーン金利が早期に廃止されることを求めていく必要があります。
 私たちは、今後ともセーフティーネットの強化、ヤミ金融対策の強化、多重債務者に対する相談体制のさらなる拡充など、多重債務問題解決のために精力的にとりくんでいく必要があります。
 
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