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特定金利はやめろ
金利引下げ全国集会 「懇談会」委員も抗議
「事業者特例は許せない」と発言する小川さん(左から3人目)
 自民党金融調査会などの合同会議が先ごろまとめた「貸金業法の抜本改定案」(別項)は、貸金業者を手厚く配慮した内容で、金融庁の「貸金業制度に関する懇談会」がまとめた意見に逆行するものとなっており、被害者、関係団体などから抗議の声が上がっています。
 政府は合同会議の内容を受け、貸金業規正法などの関連法改正案を、9月26日からの臨時国会に提出する予定です。
 9月16日に横浜で開かれた「金利引き下げ全国集会」には、金融庁の懇談会委員の原早苗さん(埼玉大非常勤講師)と高橋伸子さん(生活経済ジャーナリスト)が出席。「特例金利など規制の骨抜きは話し合っていない。水面下でやられた」と怒りの声を上げ、「これは貸金業者のためのものだ。反対していく」と強調、参加者に法改正の趣旨にのっとったものにしていくよう働きかけようと呼びかけました。
 集会では、民主商工会(民商)、弁護士、司法書士らが次つぎと登壇。「誰も利息制限法の金利を上げろといっていないのに許せない」「国民の立場に立った法改正の実現まで頑張ろう」などと発言。神奈川県商工団体連合会(県連)事務局の小川裕之さんは、「政府と金融機関は『不良債権処理』を口実に中小業者まで切り捨てながら、事業者特例を設け、中小業者を高金利のもうけ口にしようとするのは断じて許せない」と訴えました。
 集会では、金融庁に対し、「特例と先送りをやめろ」「利息制限法の事実上の引き上げをするな」との抗議声明を採択しました。
 神奈川・多摩麻生民商の柴田茂夫さん(54)=運送=は「グレーゾーン金利が廃止になると思っていたら、実態は金利の引き上げだったなんてひどい。金融庁の懇談会の討議は一体なんだったのか。こんなものは絶対認められない。大いに宣伝し署名をもっと集めて運動していきたい」と話していました。

▽(解説)自民党の「貸金業法の抜本改定案」
 経過措置の期限は公布後5年。具体的には、刑事罰のある出資法の上限金利(29・2%)を、民事法の利息制限法の上限(15〜20%)に引き下げる「準備期間」(この期間中に経過措置の必要性について見直す)を3年とし、上限金利引き下げ後、「少額・短期」(個人向け=30万円以下・借入期間1年以内、事業者向け=500万円以内・3カ月以内)を認め、貸し付けの実施までの経過期間は2年。
 グレーゾーン金利は撤廃するというものの「少額・短期」に25・5%の高金利特例を認めたため、グレーゾーン金利が残ることに。現行では利息制限法を超える部分は無効ですが、「改正」後は有効となります。
 さらに利息制限法の金額区分を変更し、10万円以上〜50万円未満の借り入れで現行15%を18%に、100万円以上〜500万円未満で現行15%から18%にとし、金利を引き上げています。
 サラ金の利用額は大半が50万円、商工ローンで100万円〜500万円といわれており、借り手の多くが今より高い金利を払うことなります。
 最高裁では、高金利被害の元凶であるグレーゾーン金利を認めない判決が出され、金融庁の懇談会でも出資法の上限金利を利息制限法と一致することが大勢の意見となっていたものの、まったく異なる内容となっています。
 
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