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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3289号11月20日付
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「スナック守れ」と総行動 営業つぶす風営法は改正を

誇り持って仕事したい

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活発な交流が行われた「街のスナックを守れ」風営法対策総行動

 「力が湧いてきた」「地域の担い手であることを再確認できた」─。全国商工団体連合会(全商連)が11月5、6の両日に取り組んだ「街のスナックを守れ」風営法対策総行動には北海道から長崎まで約50人のママやマスターらが参加。風俗営業法(風営法)を“口実”にした警察の過剰な取り締まり問題への対策のみならず、文明論から見たスナック、地域コミュニティーにおける役割、若い人たちの起業の場としてのスナックなど、未来志向の議論も含め、スナックの魅力を活発に語り合いました。

社会的役割がある=スナック研究会代表 首都大学東京教授・谷口功一さん

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谷口功一教授

 「また明日から自信を持って商売をやっていける。総行動に参加し、本当に励まされました」。大分市から駆け付けたスナック「ラピス」の是永礼子さんの言葉です。
 前日は夜中過ぎまで仕事。睡眠時間も数時間しか取れませんでした。「ママの笑顔を見に来たよ」という言葉に感謝しながらスナックを経営して8年。「でも病気になったらこの商売は終わり。老後の保障もない。不安だらけ。それに今回のような警察の取り締まり強化があると、さらに不安が押し寄せる。どうなってしまうのか」。そんな思いからの参加でした。
 総行動に参加したママたちの共通の不安に応えたのが、スナックの学術的研究に初めて挑戦したスナック研究会代表で首都大学東京の谷口功一教授による講演。同研究会は今年6月、『スナック研究序説 日本の夜の公共圏』(白水社)を出版しました。「水商売を軽く見ないでほしい」という谷口教授が語ったのは、スナックの歴史と今日的役割、そして未来への展望でした。
 2015年の全国のスナック総店舗数は約10万軒。居酒屋8万に比べてもひけを取らない数ですが、この2年間で3.8万軒余も減少しています。都道府県別のスナック店舗数で最も多いのは東京都で、北海道、大阪府と続きますが、人口比(10万人)で見ると、トップは宮崎県で、青森、沖縄、長崎と続きます。
 スナックの将来について「経営者の高齢化」で「今後10年で3割以上のスナックが減少する」と予測。その一方、昼カラオケ、介護スナック、さらに若者によるスナック「起業」が進んでいることも紹介しました。
 スナックが一種の市民的公共性を備え、災害時にはいち早く再開され地域コミュニティーを作り上げたこと、またスナックが多い地域ほど、犯罪が少ないという事実もデータで示しました。
 「これまでお客や地域のことを考えてやってきたことは間違いではなかった」。参加者が抱いた共通の思いでした。

不適切調査しない 国会内で学習・交流も

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警察庁交渉で不当性を追及

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加藤健次弁護士

 そんな役割を持つスナックにいきなり押し入り、お酌、談笑、デュエットをしたと、ママを逮捕したり高額な罰金を科したりしていいのか-。総行動2日目の6日は、その不当性、時代遅れを追及しました。
 午前中の警察庁交渉で参加者は、警察が国会の付帯決議さえ守らず、違法な「おとり捜査」まで使って過剰な取り締まりを行っている実態を告発。その是正と、時代に合った「接待基準」の見直し、風営法の改正を要望しました。
 警察庁は「個別の事案には答えられない」としながらも「おとり捜査」など「不適切な捜査」はしないのが原則と表明。また、警察庁の基準さえ超える「おしぼりを手渡すのも接待」などとしている問題についても「指導する」と約束しました。また、接待基準は、警察庁の生活安全局長の判断で変更できることも明らかになりました。
 午後の活動交流では自由法曹団幹事長でもある加藤健次弁護士が「風営法の乱用による営業破壊を許さないために」と題して講演。「営業の自由」を制限する風営法罰則規定は、憲法違反の疑いがあると指摘。風営法の改正を求める運動を呼び掛け、警察への対応もアドバイスしました(下図)。

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 参加者からは「ススキノ全体で100人以上が逮捕されている。200万円の罰金を科せられた経営者もいる」「1カ月以上も前から郵便局員のフリをしておかしな人が出入りするなどおとり捜査がやられた」(神戸)などの生々しい実態告発も相次ぎました。

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日本共産党の辰巳孝太郎参院議員(右)に「街のスナックを守る」署名を手渡す総行動参加者

 また「暴力団より警察の方が恐ろしい。『警察の出入りお断り』ステッカーを店の外に張りたいぐらい」「このスナックが私の青春だった、と話してくれる人もいる。スナックがあるから地域も成り立っている。その自覚を持って地域の人たちと一緒になって運動を進めたい」「風営法の営業時間は深夜12時まで。廃業も続いている。風営法の許可を取れば、街は寂れる。それは実証済みだ」などの発言が続きました。
 行動提起(別項)を行った全商連の中山眞常任理事は、接待基準、風営法の改正を求め、全商連が提起している「街のスナックを守る」署名に取り組むことを呼び掛けました。
 神戸・三宮でスナック「ばってん」を経営する片町小夜美さんは「警察の過剰な取り締まりで毎日の営業が不安で怖かった。でもこの2日間の行動で力が湧いてきた。前向きになれました」と語っていました。

全商連の行動提起
<「営業の自由」を守る活動強化を>
 (1)学習会を開き、風営法の問題点を学び合い、広く知らせ、実態と要求をつかもう
 (2)「料飲街アンケート」「街のスナックを守る署名」、商工新聞を手にスナックを訪問、対話活動に取り組もう
 (3)つかんだ実態、要求をまとめ、国・地方議員、自治体、警察、同業組合、弁護士などに要請し、懇談しよう
<共同広げ、風営法、「解釈運用基準」の改正を>
 (1)風営法が規制すべきは「性風俗関連特殊営業」のみとし、「接待飲食店営業」は風営法の対象から除外を
 (2)法改正の前に、「おもてなし」にあたる行為はすぐに「解釈運用基準」から外すよう見直しを
 (3)「ダンス規制」撤廃運動に学び、スナック経営者とスナックを愛する人たちの共同で風営法の「改正」を求めよう

全国商工新聞(2017年11月20日付)
 
   

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