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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3170号6月1日付
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自家焙煎コーヒーひとすじに 守り続けたい本物の味=山口

良質の豆と食材に真心込め=神田珈琲園山口店・佐川宏助さん
 「誇りに思うのは、若いころに出会ったコーヒーの味を40年以上たった今も守り続けていること」―― 。山口市内で「神田珈琲園山口店」を営む、山口民主商工会(民商)の佐川宏助さんは“本物”にこだわり、地域の客と商売人を大事に、7月にはオープン25周年を迎えます。4年前からは山口県商工団体連合会(県連)会長、全商連常任理事も務め、地域に根ざした運動を進めています。

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2000年までは順調に売り上げが伸びたが、それ以降は減少・停滞傾向に。「消費税増税や小泉構造改革の影響もあるけど、公務員バッシングなどで、公務員の給料や役所の食糧費が減らされた影響が大きい」

 JR山口線山口駅から徒歩20分、防府市に通じる比較的交通量の多い県道21号線沿いにある神田珈琲園山口店。27席の喫茶部門と、コーヒー豆の量り売りを行い、“常連客の多い繁盛店”です。妻の百合子さん、週4日勤務のバイトの女性と切り盛りしています。
 喫茶部門では(1)直火での自家焙煎(2)少量ひきたて(3)ネルドリップ抽出 ―― の伝統を守った「珈琲園ブレンド」(360円)など各種コーヒーをはじめ、「客の要望に応えていたら、一日中提供することになった」という「モーニングセット」(515円)、食事で一番人気の「しょうが焼定食」(615円)などが好評。良質な豆をお手頃価格で提供する量り売りも、愛好家の支持を得ています。
 「オープンした90年7月には、コーヒー1杯200円前後のセルフ店が台頭。喫茶店が減り始めていたので、喫茶だけでは生き残れないと考えていました」。その読みはズバリ的中。喫茶と豆販売の比率はほぼ6対4で、売り上げを支える両輪となりました。

多彩なメニュー客の要望に応え

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「『自由に味わう世界のコーヒー』は神田のお店と同じ。食事メニューの2番人気は、ボリュームたっぷりの自家製カツカレーです」

 「週3回以上来てくれる常連は近所の人ばかり。地方で客が足を運ぶエリアは意外なほど狭いんですよ」。最初は距離があるものの、いったん仲良くなると濃密な関係になる。都心とは違う地方の特性に合わせて、一人ひとりの好みや要望に応えてきました。
 多彩な食事を提供したのも、その一つ。開店当初はピラフとモーニングだけでしたが、メニュー充実を求める声に応え、サンドイッチやカツカレー、野菜炒め定食などを一気に追加しました。「女房との合作で家庭料理の延長」と謙遜しますが、この味を求める常連客でランチタイムはにぎわいます。

本物にこだわれ師匠の教え今も

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県道沿いは、大型ショッピングセンターやチェーン店が立ち並ぶ。「25年前は喫茶店が6〜7軒、喫茶組合もあったが、残っているのはウチだけ」

 店名をいただく神田珈琲園は、東京・神田駅北口の高架下にある、1957年創業のコーヒー専門店。佐川さんは高校卒業後、「新聞記者になりたくて」日本大学法学部新聞学科(夜間)に入学。昼間働いていた業界紙(化学肥料)の先輩に「民主的な店だから」と4年時に紹介され、働き始めました。
 コーヒーにあまり詳しくなく、当初は「卒業までの資金稼ぎ」のつもりでしたが、徐々に商売の面白さに目覚めました。「たとえ代金を払っても満足しないと、お客は二度と来てくれない。商売人の真心が伝わるシンプルな世界に引かれました」
 混ぜ物をするな、本物にこだわれ―。佐川さんが守っている、神田時代の師匠=鈴木利昭さん(千代田民商の初代事務局長)の教えです。

経営者の力量も民商で鍛えられ
 「食品は、料理人の腕もあるけど、素材が良くないとおいしくならない。例えば、コメは割高だけど、山間の冷涼な気候で穫れた山口県産コシヒカリを近所の米屋から購入。コーヒー豆も最高級品は使えないが、できるだけ良い物を選ぶ。店の利益は減るけど、長い目で見たらプラスになっている」。地域の真面目な商売人を応援し、一緒に繁盛していく姿勢を民商から学びました。
 神田の店では21年間修業し、役員待遇で従業員トップに上り詰めた佐川さん。一人娘の小学校入学を機に山口に帰り、独立することに。「社長夫妻が市内をあちこち見てくれ、“山口なら本屋が多く、コーヒー文化があるので大丈夫だ”と後押ししてくれました」
 オープン前から近所の洋菓子店の民商会員に相談に乗ってもらい、開業と同時に入会。民商の活動に参加したのは「“あいつならやるだろう”と半ば強引に民商の理事に選ばれたから」。2〜3年で副会長になり、6年間務めて、会長に抜てきされました。
 役員として、記帳学習会や税務調査の立ち会いの先頭に立ってきました。「10年ほど前、パソコン会計を学んで、青色申告の65万円控除を取れるようになり、経営も数字できちんと把握できるようになった。役員として立ち会うことで、仲間を助けて理不尽な徴収とたたかう民商の役割を肌身で感じ、鍛えられました」
 県連会長として進めているのが、県内の一人事務局の集まりを2カ月ごとに持ち、集団学習と活動の自己点検を図る機会を保障すること。
 地元・山口民商では、約330人の会員比150%の読者まで残り約40人をやり遂げて、全商連・第2回地方別活動交流会に参加することを目標にしています。

全国商工新聞(2015年6月1日付)
 
   

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