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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3037号 9月 3日付
 
相談は民商へ
 
経営
 

地域経済に活力! 世直しで連帯! 民商の地域おこし

 地域経済に活力と元気を与える民主商工会(民商)が主体となったオリエンテーリングが49民商で、民商まつりが84民商で開催されていることが分かりました。全国商工新聞が都道府県の商工団体連合会を通じてまとめたもの(5月末現在)。全国582民商中、まつりは14%、オリエンは8%の実施率です。行政や企業の後援、協賛も増加。地域を代表するイベントとして発展しているまつりやオリエンテーリングも生まれています。

地元市民が「主人公」
2万人の大イベント=埼玉・坂戸民商まつり

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11チームが出演し、熱気あふれる「さがど民商まつり」の「よさこい踊り」

 市民の5人に1人が参加する民商まつりがあります。埼玉・坂戸民主商工会(民商)が主催する「さかど民商まつり」。人口約10万人の坂戸市で参加者2万人を超えるビッグイベントです。市民から「毎年楽しみにしている」と声が上がるほど、地域に貢献するまつりとして発展してきました。

 さかど民商まつりが開催されるのは毎年5月の第3日曜日。坂戸市総合運動公園が会場で、9回目となる今年も約2万人が参加しました。
 企画も参加者も多彩です。今年の中央舞台、野外舞台に登場したのは、地元の中学校・高校の吹奏楽部をはじめ、舞踏、太鼓、演歌歌謡のグループや個人など26グループ。ジャズライブには4グループが参加し、11のよさこいチームもまつりを盛り上げ、フリーマーケットや模擬店も大にぎわいです。
 「出店者、出演者をはじめ、まつりを担っているのは、すべて地元の市民なんですよ」。坂戸民商の西村利弥会長=鮮魚店=は胸を張ります。
 さかど民商まつりは開催当初から「地元密着・地元優先」を貫いてきました。

市長が民商に祭開催を相談

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「さかど民商まつり」のプログラム

 04年以前には地元のまつり「商工祭」などが開かれていましたが、信用金庫の経営破たんで開催が困難に。当時の市長から民商に「何とかできないか」と相談が持ちかけられたのがきっかけでした。
 以来、地域のまつりの伝統を守り、出演者も出店者も地域で探し歩きました。「苦労もありましたが、それが地域の歴史や文化、そして人を発見することにつながってきた」と振り返るのは島田康夫事務局長。その思いは、まつりスローガン「地域経済の発展と市民参加による発展」にも込められています。
 市も民商まつりを支援。後援は3回目からですが、坂戸市長は1回目から連続参加しています。市議会議長や観光協会からもあいさつがあり、「この民商まつりが地域経済の活性化に貢献すると期待している」と激励を受けています。
 まつりにあたって民商が大事にしているのが「参加者が主人公」の運営です。
 出店者などが集まる出演者会議は毎年開催。まつりの目的などを報告するとともに、出演順序の決定から会場周辺の警備など、すべて出演者の自主的な運営で進めます。まつりの収支などについてもすべて公開、透明性を確保しています。
 まつりを通じ、民商に対する市民や行政からの信頼も広がってきました。
 まつり会場でのリサイクルやマイカー参加の自粛、ごみの持ち帰りなど環境の改善に力を入れ、まつりが市の「環境配慮チャレンジイベント事業」の認定を受けたのもその一つ。さらに、民商が市の観光協会に加盟し、花火大会や坂戸よさこいなどでも、大きな役割を担うようになっています。

地域経済担い発展をめざす

 地域経済を担う民商の活動に市民からも「民商が本当に地域の発展を考えている団体だということが分かった」という声も寄せられています。
 先の西村会長は「これだけのイベントを民商がやっているんだ、という自信が会内に広がっている。まつりを通じて新しい読者や会員も迎えてきた。地域経済の再生、地域文化の継承・発展のために、これからもまつりを発展させたい」と話しています。


業者の元気 地域に伝え
区の後援受け発展=東京・北区民商まつり

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子どもたちも大勢参加する「北区民商まつり」(2011年)

 30年以上にわたり、民商まつりを開催しているのが、東京・北区民主商工会(民商)です。参加者は1万人を超え、都内最大の規模を誇ります。長い歴史を培ってきた北区民商まつり。今年も新たな「1回」を刻みます。
 「子どもが楽しめる企画、こんなのはどうだろう」。北区民商では11月4日の民商まつりに向けて準備が始まっています。8月21日、民商事務所には各支部から選ばれた12人の実行委員が集まりました。
 当日のステージ出演者、模擬店の募集状況からテントでの企画などをにぎやかに議論。会員の5分の1にあたる約100人が運営や出店などで参加し、まつりを成功させます。

みんなが笑顔でとにかく楽しい

 「なぜ続いているかって? それは人が集まって、みんなが笑顔になって、とにかく楽しいから」と話すのは今回、実行委員長を務める尾藤保廣さん=ウェブ制作。
 今年のステージには沖縄のエイサー、ヒップホップダンス、ジャズ、合唱などのチームが出演。会員を中心に50店の模擬店が出店し、大工職人などによるモノづくり、商売のPR、健康チェック、法律家による相談コーナーも企画します。電動アシスト自転車(1等)などが当たる大福引大会もまつりを盛り上げます。

会場を変更してまつりに変化が

 北区の民商まつりが始まったのは1980年。当時は事務所前の小さな公園が会場でした。「民商内の懇親を深めるためのイベントだったのでは」と、鳥居峰夫事務局長は話します。
 変化のきっかけとなったのは、民商創立60周年を迎えた07年。まつり会場を地元のシンボル的存在、飛鳥山公園に移したことでした。
 「飛鳥山でイベントをやるというのは地域に民商の顔が知れわたることだから、うかつなことはできなかったよ」と話すのは、支部で焼きそば屋台を出した広田善夫さん=紳士服仕立て。参加者は一気に増え、6000人に達しました。
 その翌年には区へ民商まつりの後援を要請し、実現。区長も、毎年のように参加しています。回覧板や区発行のニュースでも告知ができるようになり、09年には、参加者が初めて1万人を突破しました。
 今年8月20日の区との懇談では、花川與惣太区長が「民商まつりは地域に元気をもたらしている。だから区としても後援している」と、あらためて強い期待を寄せました。
 民商の宇津木正志会長は「民商まつりは地域で頑張る元気な中小業者の姿が地元に伝わる。中小業者が地域にとって必要と思ってもらえるいい機会。それに民商への期待や相談も増え、頼りにされていることが分かるよ」と気合いも十分。今年も「まつり」成功に向け、全力で奮闘しています。


まちぐるみの取り組みに
店舗140軒・1000人超参加=長野・上伊那民商オリエンテーリング

 長野・上伊那民主商工会(民商)は、この8年間で伊那市8回(3月)、駒ケ根市7回(11月)の計15回の「夜の街オリエンテーリング」(夜オリ)を実施してきました。1年間に両市で1回ずつの定期開催。民商の知恵と工夫を結集することで、今では市民に定着したイベントに発展しています。

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駒ヶ根市で行われたオリエンに集まる参加者

 夜オリに初めて取り組んだのは8年前。商工新聞が大きく取り上げた夜オリの記事がきっかけでした。
 人口比に対し料飲店の数が多いのが伊那市の特徴。「その特徴を生かし、地域を元気にしたい」と、有賀泰幸会長(当時)が呼びかけて実現したものでした。
 実施している民商への視察・研修にも出かけ、これまでの実施回数は2市合わせて15回。有賀元会長は「夜オリは、とても奥が深いイベント」と断言します。
 最初の開催(伊那市)では、35店舗170人が参加。大きな成果を得ることができました。
 要求あるものが先頭に立つため実行委員会を結成しました。連日連夜の大変な準備作業、当日のトラブルの続出…。しかし開催後の参加店・参加者から寄せられたのは「こんな楽しいイベントはない」「毎月でもやってくれ」などの声や、予想以上の反応でした。実行委員も「準備から開催当日まで、大変だったけど本当にやって良かった」と心から思えたことが、開催を続ける大きな力となっています。

試行錯誤と工夫を重ね

 その後、駒ケ根市でも開催。毎回、試行錯誤しながら新たなチャレンジ、工夫を重ねていますが、多くの「こだわり」をもっているのが、上伊那民商の特徴です。
 その一つは開催時期です。開催月は、毎年3月と11月。歓送迎会前と忘・新年会前に開催することで、参加店舗は繁忙期に向けての宣伝ができ、参加者は店舗選びができます。民商にとっても春と秋の運動に合わせることで多くの対象者へ民商アピールができます。
 一番大変なコース作りも工夫しています。
 参加者に1軒でも新しい店舗を知ってほしいという思いから、毎年同じ店舗の組み合わせを作らない、回る店舗が類似のものに偏らない― が原則。そのために、参加店舗を増やし続けるということを念頭に、民商としても対象者を増やしています。
 参加も何人からでもOK。そのことで新たなお店との出会いのほか、新たな人との出会いもつくりだしています。会員は名刺を持って参加し、店舗を回ることで営業のチャンスもつくれます。参加店も工夫と努力次第ではリピーター客を獲得することも可能です。
 民商の宣伝もさまざまな方法で実施しています。(1)地元新聞や情報誌への広告の掲載(2)参加店だけでなく商店やアミューズメント施設などの人が集まる場所や地域のコミュニティー施設などありとあらゆる箇所へのポスターの設置(3)当日会場での署名行動や民商宣伝ブースの設置−などの工夫をしていまです。

民商最大のイベントに

 自治体の後援、ビール会社の協賛、タクシー会社や運転代行会社の協力を得たことで市民権を得る大きな力になりました。
 また、演出では地元で活動する太鼓や踊りのサークルの皆さんや地元の学生の受け付けなど、業者に限らず、さまざまな団体、企業、個人を巻き込み、その理解と支援を得たことが大きな力となっています。
 民商だけでなく、参加店舗、参加者、地域経済、自治体はじめ、すべてにおいて「良し」を確立できる事業の一つ−それが夜オリです。
 そのため上伊那民商では、夜オリを民商最大の行事の一つとして位置づけ、共済会、婦人部、青年部も積極的に参加。それを通じ、民商には大きな自信と団結が生まれ、継続の大きな要因にもなっています。
 今では、2市で参加店舗は140軒以上、参加者は1000人を超えています。商店街や料飲街の有志、商工会議所、青年会議所でも同じような取り組みが行われるようになり、地元地域経済に大きな影響をもたらし始めています。
 11月には第8回駒ケ根夜の街オリエンテーリングの開催を予定しています。


脱原発を応援「デモ割」で交流深め
満席の客に店主驚き=大阪・福島民商

 夜の街だけでなく、商店街に元気と連帯を広げる取り組みが広がっています。東京都杉並区、千葉県船橋市などで始まった「デモ割」(デモ・集会参加者に地域のお店が行う割引サービス)。関西電力のお膝元でも19店が参加し、脱原発の声を広げています。

関西電力本店前抗議行動に連帯

 「脱原発・再稼働ノー」。毎週金曜日の夜に行われる関西電力本店前の抗議行動。若い人たちを中心に毎回2000人を超える参加者が声を上げます。
 その行動と地域の業者が連帯することはできないか−。大阪・福島民主商工会(民商)が注目したのが、デモ割を伝えた7月30日号の商工新聞でした。「面白いと思ったんですよ。東京、千葉でできて大阪でできんことはないと」。西田康高事務局長はそう振り返ります。
 期待を膨らませてさっそく民商の会員に呼びかけました。
 ところが…。参加を希望したのは串かつ1店舗だけ。多くの店からは「ここは関電のお膝元やし。お客さんにも関電や関連会社の人たちも多いさかい」という反応が返ってきました。
 それでもデモ割を成功させようと、デモ割を伝えた商工新聞のコピーの裏面に、お店の地図と「串かつ5本セットと生でビールで700円」のサービス内容を明記した両面のビラ300枚を民商役員らが集会で配布。集会後、ビラを持って来店したお客さんは20人にも達し、店内は満員に。店長も「こんなに来るとは思わなかった」と驚くほどでした。
 「これはいける」。新たな気持ちで民商は、デモ割への参加を「気軽に」呼びかけたところ、「いいよ、店の宣伝になるのなら」と一気に9店が参加を表明。6月10日には、9店舗の地図などを掲載した「デモ割やっています」のビラ750枚を配布、計50人の来店がありました。

ネットで広がり参加店舗も倍増

 翌日、ツイッターなどのネット上で、集会の主催者から「ネットで『デモ割』(参加店)のことを紹介したい」「大変によい取り組みだ」と連絡。8月17日の行動では事前にネット上で「デモ割」が紹介されました。4回目になる8月24日には参加店も18店と倍増。ケーキ店やテークアウトの寿司店なども含まれ、デモ割参加店の業種も来店客数も増えています。
 「デモ割」を紹介する福島民商のホームページを「デモ割」で検索して閲覧したのは、8月22日現在で798件に上り、同時期の民商での検索(300件)の倍以上です。
 デモ割の参加者は「脱原発という素晴らしい行動に、業者として『割引サービス』で、参加者と交流できて、喜んでもらえる。そして商売にもなる。取り組んで良かった」と話しています。

全国商工新聞(2012年9月 3日付)
 
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