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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2942号 9月13日付
 
経営
 

就業体験 民商会員が学生受け入れ 「業者ならではのよさ」伝える=埼玉・川口

インターンシップ――中小企業の魅力感じて(上)
有限会社あかつき建設
 「町の業者ならではの良さを知る機会になった」―。中小企業で学生に就業体験をしてもらおうと、駒澤大学が04年から全国商工団体連合会(全商連)などと協力して取り組んでいるインターンシップ。今年は8月上旬〜9月上旬にかけて、首都圏の6社が3年次の学生9人を受け入れ、約1週間の研修を行いました。インターンシップを通じ、中小業者の社会的役割や魅力を実感する機会となっています。3回にわたって紹介します。

 「一般企業は利益を上げるために一生懸命というイメージだった。でもあかつき建設はお客さんや取引先と一緒に満足を追求して、地域にも貢献していて驚いた」と話すのは、Kさん(21)とZさん(24)。埼玉・川口民主商工会の鈴木芳晴さんが経営する有限会社あかつき建設で、8月23〜28日まで研修を受けました。
 2人は仕事現場や建設・不動産関連の職場を見てみたいとあかつき建設を選択。「最初はそもそも中小企業ってどんなところ?という状態でした」と話します。

地域に根ざした仕事にびっくり
 これまでは就職先も規模や安定感から大企業に…との思いが強かったと言います。研修では「多くの人と会って名刺を交換し、人を観察する」という目標を立てて名刺を作り、建築現場・ショールームの見学や商談に同席。ショールームでは、スタッフの仕事内容、商談では取引先とのやり取りを学びました。鈴木社長が直接、建設現場に行ってお客さんとやり取りする姿を見た時には、「社長が来てくれるなんて、きっとお客さんの安心感も違うと思った」と話します。
 事務所の小会議室を地域住民のために料理教室などとして開放したり、事務所の隣に障害者のための施設を開いている点にも驚きました。「地域に根ざしている活動にびっくり。“自分だけがもうかればいい”というのは感じられなかった」。
 また小規模な職場ならではの気さくな人間関係にも驚きを隠せなかったとか。「アットホームという言葉がそのまま当てはまります」とKさん。社長=高圧的というイメージが覆りました。「休憩中には社員のみんなが社長に笑いながら冗談を言ったり。でも、仕事が始まると社長のもとに団結して頑張っていました」。

学生受け入れた企業にも刺激が
 28日には、社長や社員の方と都内で開かれた建材展示即売会に出かけ、どういった企業と取引があるのかを学びました。木材、工具、内装、ガス器具、水回り用品など、各企業を見学。企業ブースで、鈴木さんが製品を評価しつつ名刺を渡していたときは、「取引先との関係はこうしてつくるんだ」と真剣な表情で見入っていました。
 「鈴木社長が“一つの仕事しかできないような“歯車になるな”と話してくれたのが印象的でした。中小企業もいいなと、少し思っています」とKさん。Zさんは「もしあかつき建設に誘われたら、就職してもいいなと思う」と話します。
 あかつき建設は、インターンシップ開始以来、ずっと学生を受け入れてきました。「会社のためというより、学生に少しでも多くの人に出会い、社会を知ってもらいたいと思ってやってきた。受け入れは楽ではないが、社員も緊張しながら仕事をするので程よい刺激になる」と鈴木さん。移動中の車の中では学生たちに社会の厳しさ、経済、国際情勢、中小企業の魅力などを語りました。「中小企業の社長」として働く姿を示し、学生が職業観を培う上でかけがえのない役割を果たしています。


▼インターンシップとは
 大学生など学業についている者が企業や官公庁などで自らの専攻や将来の職業選択に生かすため就業体験すること。職場見学から、業務体験、企画立案まで幅広い。文部科学省の調査では、07年度に実施した大学は67%に達し、体験学生数は6万人を超えた。就業期間は夏休みなどの1週間〜1カ月が主流だが、半年を超すものもある。

   
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