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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2935号 7月19日付
 
経営
 

経済法則つかめば経営も民商も伸びる=「資本論」が導きに

(有)緑産業(園芸資材製造・卸)
福岡・直鞍民商 会長
緑豊重さん


 経済発展の法則を深くつかめば経営も民商も伸びる―マルクスの『資本論』(注)を学びながら、商売を伸ばしてきた福岡・直鞍民主商工会(民商)の緑豊重会長の持論です。29年前、20万円の資金を元手に1人で始めた園芸資材の製造・卸。(有)緑産業として成長を続け、売上高は09年現在で5億7000万円に達しています。経済法則をつかむとは?

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会社内で商品を手にする緑会長

「資本論」との出合いが
 「『資本論』は労働者の搾取の秘密を明らかにした。それは未来社会が高度に発達した資本主義生産の内面に隠れていること。商売人として読むと商売の法則も民商の発展も見えてくるんですよ」―。こういって緑会長は笑顔を見せます。
 1945年、終戦の年に奄美大島の防空壕で生まれた緑さんは中学卒業後、4人の兄が働いていた北九州市内の日立金属に就職。機械加工、鋳造などの作業に携わりました。
 そこで出合ったのが『資本論』。会社を辞め、長兄の経営する金物店を手伝ったのをきっかけに36歳で商売を始めました。

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設備も機械も手づくりでつくられた緑産業の全景

 その時、頭に浮かんだのが公害問題のなかで、企業でも広がっていた緑化運動でした。「日照りが続くと、庭の木は枯れるが、山の木は枯れないのはなぜか」という土への興味が商売と重なった瞬間でした。
 知人の牧場で100坪の土地を借りてスタートした土づくり。試行錯誤の連続でした。独学を重ね、生花市場などでさまざまな商品を購入し、その成分を研究しました。「山の地層にほれないといい土はつくれない」と何度も山に分け入り、腐葉土を持ち帰りました。
 重量のある土をどう軽くするか。大手に負けない品質、安い価格をどう実現するか。寝ても覚めても「自分しかできない」新しい商品の開発をめざしました。

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緑産業の主力製品の1つ「バーミキュライト」

 最初に開発した「花と野菜の培養土」は今でも緑産業のロングセラー。開発した商品は100種類を超え、原材料を仕入れるため、輸入ルートは10カ国に及び、最大の売れ筋商品の一つ「バーミキュライト」は九州地方全体の出荷量の7割以上を占めるまでになっています。


共同開発で“統一戦線”
 「流通経路、販売ルート、価格、商品構成、袋のデザインや流行しそうな商品…」といった業界の根本に通じることで、大手企業との共同のあり方、たたかい方も変わってきました。
 大手が安くて見栄えのいい商品を出すと、競争相手でもある同業他社と結束。大手の商品に打ち勝つ商品を共同開発します。
 「統一戦線の考え。これで大手の進出を阻んできたんですよ」
 商品開発、企業経営の発展は社員の育て方にも大きな変化をつくりだしました。「結合された生産」「結合された労働」を集約し、地域に働きかけ、労働者の全面的な人間発達を保障するため、民商運動や選挙、地域の文化的な取り組みにも積極的に参加を促しています。

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未来社会への法則つかんで
 「あとは野となれ山となれ」―。マルクスが警告した資本主義社会はいま、地球の存亡そのものと「自然法則」を人類に突きつけています。
 その中で持続可能な社会をどうつくっていくか。民商・全商連が掲げる「ルールある社会づくり」は、「経済発展の法則」として社会的労働が伴うだろう、と緑さんは強調します。
 「経営の長期戦略も経済法則を深く理解すればこそ、見えてくる。経営も元気な民商づくりも未来社会につながる法則をつかみ取ることが、その発展のカギなんです」



(注)『資本論』 カール・マルクス(1818年‐1883年)の代表作。少数企業の利益第一主義に基づく資本主義が、まじめに働く人々を主人公とする社会に変化せずにおれないことを解明。1867年に第1巻が刊行、マルクスの死後、盟友エンゲルスによって第2巻、第3巻が編集され、刊行。初めて「資本主義」と呼んだのは、マルクスでした。

   
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