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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2864号 1月26日付
 
経営
 

下請法を活用し、営業と権利を守ろう

 「親会社から一方的に単価を引き下げられた」「代金が期日までに支払われなかった」―不当な下請け取引に泣き寝入りしていませんか。親事業者には期日までに代金を支払う義務があるほか、見積りを下回る単価の押し付け、代金の減額などが禁止されています。それを定めたのが下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)。下請け業者の営業と権利を守るための法律です。

全商連 公取委への要望が反映
 全国商工団体連合会(全商連)はこの間、「下請法」の改正と運用改善を国に求めてきました。親会社の違反行為に対して「警告」を中心とした運用から「勧告」を原則にした厳格運用にすべきことや証拠である書類保存の期間延長、検査権限の強化を要望しています。
 公正取引委員会は、中小業者の厳しい実態に理解を示しつつ、買いたたきについては「しっかりと対応したい。下請法がどうあるべきか、検討する必要性を感じている」との考えを示しました。
 こうした運動が反映し、政府は不十分ながらも経済対策の中で下請取引適正化を政策の柱に位置づけ、10業種の下請適正取引ガイドラインを定め厳格な運用とともに相談体制を拡充しています。
 下請法に基づく08年度上半期の取り締まり状況のまとめによると、10万社の親事業者、下請け業者の書面調査の中で違反容疑の高い433社に立ち入り検査を実施。結果395社に改善を指導し、9・7億円を下請け業者に返還させています。
 また、全国48カ所で「下請かけこみ寺」((財)全国中小企業取引振興協会Tel03・5541・6655)を開設し、相談に乗っています。

「下請法」ついて中小企業診断士の谷口修さんに聞く
 「下請法」とは、中小企業・中小業者の公正な下請け取引と利益保護を目的とした独占禁止法の特別法です。適用取引範囲は製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託でほとんどの業種に及びます。
 「情報成果物」とは、プログラム、映画・放送番組、設計図、ポスターなどのデザイン、報告書などです。「役務提供」とは運送、物品の倉庫における保管、電子計算機にかかわる情報処理業務などです。
 建設工事の下請負いはこの法律の対象になりませんが、建設業法で同様の規定がおかれ、下請け事業者の保護が別途図られています。
 親事業者と下請け事業者(個人を含む)の定義では、親事業者が資本金1000万円以上の法人の場合の下請け取引が規制対象になっています。

親事業者の義務と禁止行為
 親事業者の義務として(1)発注時に支払日などを記載した注文書の発行(2)下請け代金などを記載した書類作成と2年間の保存(3)60日以内の支払期日を定めること(4)支払期日までに代金を支払わなかった場合の遅延利息の支払い、が定められています。(1)(2)に違反した場合は50万円以下の罰金が科せられます。
 さらに親事業者の禁止行為として(1)物品などの受領拒否(2)60日以内の支払期日までに下請け代金を支払わない支払い遅延(3)下請け代金の不当な減額(4)不当な返品(5)著しく低い額で定める買いたたき(6)購入・利用強制(7)下請法違反を通告したことに対する報復措置(8)有償支給原材料などの対価を物品等の下請け代金の支払期日より早い時期に相殺または支払わせる早期決済(9)通常の割引困難な手形の交付(10)下請け事業者に対して金銭・役務その他の不当な経済上の利益の提供要請(11)発注の取り消しや発注内容の変更または受領後のやり直し――が定められています。
 例えば、一方的に通常の対価より低い単価で下請け代金を決められた。国際競争力強化のためのコストダウンと称して一律に一定比率で単価を引き下げて額を決められた‐などは「買いたたき」に該当します。
 下請け事業者に責任がないのに、親事業者が発注後に下請け代金の額を減じることは、たとえ当事者間で協賛金、値引き、部引き(割り戻し)などの名目で代金から差し引くことを合意している場合であっても禁止行為に該当します。
 親事業者がこれらの禁止行為を行ったときは、公正取引委員会が調査や立ち入り検査、原状回復、再発防止措置などの行政指導、警告・勧告・公表を行い、是正することになっています。

不当な扱いには粘り強く交渉を
 親事業者の優越的地位利用で、義務違反・禁止行為に当たると思われるときは、黙って受け入れず、最寄りの民商に相談するとともに親事業者に下請法違反であることを告げ、製品の自主原価計算書を作成し、用意して粘り強く交渉しましょう。
 それでも解決しないときは、民商とともに所轄の公正取引委員会に申告するなど、下請法を中小業者の権利と営業を守るために役立つ法律として活用し、運動していくことが必要です。
   
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