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異業種交流
まちの活性化を考える
埼玉・深谷市 業者・市民・行政一体で
れんがホールやミニシアターなどにぎわい創出
「深谷まつり」でまちが活気づく
 埼玉県深谷市では中心市街地にぎわいを取り戻そうと商業者や市民、行政が一体となってまちづくりをすすめています。「れんがホール」やミニシアター、市民ギャラリーのオープン、夏まつりなどとりくみは多彩。商業者の間ではまちづくり3法「改正」を受け、「まちの活性化を考える会」が発足し、新たな試みも始まっています。深谷を訪ねた7月29日には、「深谷まつり」が開かれ、町は活気づいていました。

若者が活躍した深谷まつり(左から3人目が荒木さん)
 太鼓の音が鳴り響き、威勢のいい掛け声ともに10基の山車が町に繰り出した「深谷まつり」。夏の暑さを吹き飛ばような勢いがあります。
 目立ったのは粋なハッピ姿の若者たち。毎年、山車を担いでいる深谷民主商工会(民商)の荒木啓一さん(58)=縫製=は「祭りは若者たちがエネルギーを発散させ、老若男女が一緒に楽しめる場。まちづくりにも欠かせない」と言います。

力を引き出して

 祭りだけではなく、若者や市民の力を引き出すことに力を入れており、仲町商店街にある「れんがホール」やミニシアターの構想もそこから生まれました。いずれも中心市街地の活性化をめざす「TMO事業」の一環で、「れんがホール」は02年11月、松本博之さん(48)がNPO「深谷にぎわい工房」を設立し、運営。70年ほど前に建てられたれんが造りの倉庫を改装、レトロ風のホールに再生し、ストリートミュージシャンのライブや絵画の個展などを開いています。
れんがホールで開かれたコンサート。多くの市民が訪れました
 「ほこりをかぶり、がらくただらけだったけど、市民から掃除をする人を募り、自分たちでやれるところは修理。にぎわいを取り戻したいという市民の願いが詰まっている」と松本さんは話します。
 ミニシアター「チネ・フェリーチェ」は02年7月にオープン。移転した銀行の店舗を活用したユニークな映画館です。運営しているNPO法人「市民シアター・エフ」代表理事の竹石研二さん(58)は深谷民商の会員。オープンした年は1日平均30人ほどの観客でしたが、今では100人を超え、「げた履きで行ける映画館」と親しまれています。「行政ともキャッチボールしながらまちづくりを考えたい」と竹石さん。
 「TMO事業」の中心的役割を担っている深谷商工会議所の村岡豊さん(47)は「大型店が郊外にできて商圏が移っていたが、ミニシアターやれんがホールができて、市街地にも市民の人たちの足が向くようになった」と言います。

市民の声届ける

 危惧しているのは中心市街地活性化法の「改正」で今後のまちづくりがどうなるかです。加えて道路拡幅のための区画整理事業が始まり、最悪の場合はミニシアターや「れんがホール」が退きを迫られる事態に。
 竹石さんは「まちの活性化を考える会」を立ち上げ、7月15日には1回目の集まりをもち、建築主や商店主、商工会議所の青年などがまちの将来を話し合いました。

声を行政に反映
 今後はまちづくり3法「改正」の内容を学習し、市民の声を行政に反映させようとしています。
 「本当に道路拡幅が必要なのか、自分たちのまちをどうするのか、市民に問いかけながら行政に働きかけ、仲間と一緒に知恵と工夫を出し合ってまちづくりを前進させたい」。竹石さんらの新たな挑戦が始まっています。
 
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