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安保・基地
山口・岩国への米空母艦載機移駐
歴史的判断くだした住民投票
岩国民商事務局長の松田一志さんのリポート
 山口県岩国市民は、米空母艦載機部隊の岩国移駐の賛否を問う住民投票を成功させ、移駐受け入れノーの結論を鮮明にしました。岩国民主商工会(民商)の松田一志事務局長のリポートを紹介します。

「住民投票に行きましょう」の歌を披露する「米空母艦載機受け入れ反対に○をする会」のメンバーら(3.19岩国集会で)
 2006年3月12日、岩国市住民投票条例に基づく「米空母艦載機受け入れに反対か賛成かを問う住民投票」が実施されました。投票結果は、投票総数4万9682票で投票率(投票有資格者の)58・68%、そのうち反対票は4万3433で投票有資格者の51・30%、賛成票は5369票という圧倒的多数で歴史的判断が下されました。
 米軍岩国基地は、戦後60年余にわたって岩国に居座り続けています。その間、基地の存在が原因となる犯罪や事件、事故が起こっても、基地撤去の運動が大きく広がることはありませんでした。基地経済に依存した体質は、市民の口を重くしていきました。
 しかし、米軍再編計画の中に岩国基地の拡大強化につながる米空母艦載機部隊の受け入れ計画が明らかになったとき、市民は重たい口を開き、タブーを打ち破って、基地問題を語り始めました。「これ以上の騒音はイヤだ」「黙っていたら岩国がめちゃくちゃになってしまう」「子どもや孫たちに安心して暮らせるふるさとを残したい」など、市民の思いのこもった一言ひとことが大きな輪となり広がりました。
 2月17日に「米空母艦載機受け入れ反対に○をする会」の結成を市民に知らせる記者会見に参加した岩国民商の植野友行会長は「会の立ち上げのころはあまり盛り上がりを感じなかった。基地周辺とそれ以外の地域では温度差を感じていた」と運動が始まったころを振り返ります。
 市条例は投票有資格者の過半数が投票しないと開票作業はおこなわないことになっています。この点に目をつけた一部の保守系議員などは、「基地問題は国の専管事項なので反対をするより条件闘争の方が得策だ」「住民投票費用は税金の無駄使いだ」などと住民投票をボイコットする運動を展開し、建設業者への露骨な締め付けをおこなってきました。
 基地問題に関して市民一人ひとりの意思を示す絶好の機会がつぶされてしまうとの危機感を持った岩国民商は、全会員・読者へのジャンボはがき、業者のおかあちゃんの手紙、商店街向けチラシ、料飲業者向けチラシなどを作製し、中小業者の立場を生かした行動を展開しました。
 投票日が迫った3月10日には、元請け業者からの「住民投票をボイコットする」などのファクスに一部の民商会員に動揺がありましたが、申告相談会場や電話などで対話をおこない、ボイコット運動に正義も道理もないことを訴えました。
 岩国市は、3月20日に周辺の町村と合併し新市に生まれ変わりましたが、住民投票の結果を消し去ることはできません。今後の課題について植野会長は「基地依存の経済体質に疑問を持った業者が勇気を持って投票に参加したからこその結果だと思う。地域経済を見直す機会になるよう奮闘したい」と語っています。
 
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