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  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第2965号 3月7日付
 
業種 製造・小売
 

広げたい「花文化」の裾野=和歌山・有田

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花文化を全国に届けたいと笑顔で話す児島さん

 和歌山県有田市内にある「花フローレ」。和歌山県商工団体連合会副会長の児島成一さんが経営する生花店です。開業直後に有田民主商工会(民商)に入会し、民商運動と商売の発展を重ね合わせ35年を迎えました。経営の柱にしているのは、花文化を発信する店づくり。「花は心に癒やしと安らぎを与えるもの。これから花文化の裾野は広がる」と信念を持ち続けています。

 「民商の活動に参加していると、世界や日本の向かう方向が、自分なりに見えてくる。その中で商売をどうするのか、中小業者が生きるために何が必要なのかを常に考えてきた。民商運動と商売は切り離せない」。民商運動に35年間かかわる児島さんの実感です。
 今、意識するのは「アメリカ型の資本主義」の崩壊。「これからの日本に必要なのはヨーロッパのように緩やかに経済が成長する国づくり。人びとは安心・安全な食や心の豊かさを追い求める。また、そうしなければ日本は滅びる。人間らしい心を生み出すためには、花は大切な文化」と自信を持って語ります。

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「花フローレ」の誕生カード

 現在、有田市内で3店舗を経営し、スタッフは社員2人とパート4人。スーパー内の店舗は花の種類を多くしてカジュアルな値段で。路面店は接客に時間を費やして客単価を高く。自宅隣の店舗は在庫を置き、スーパーなどへの納品が中心。店舗ごとに特色を出し、常に100種類以上の新鮮な花を仕入れて、季節感を出しています。春を迎える店内は今、チューリップやスイートピー、フリージアなどが色鮮やかです。
 有田市の人口は約3万人。そのうち年間1万5000円以上の花を買ってくれる顧客は2000人以上に上ります。無期限のスタンプカードを発行してどの地区にどのくらいの顧客がいるのかを把握し、誕生日には誕生花と花言葉を添えたギフト券つきの誕生カードを郵送して喜ばれています。

花を飾る習慣を日常生活の中に

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スーパー「オークワ」内にある店舗。色とりどりの花が並び、甘い香りに包まれています

 「日本の1世帯当たりの年間花代は1万2000円。ヨーロッパに比べてまだ低い。母の日、彼岸、お盆、年末、バレンタインデー、ひな祭りなどのイベントで花を贈るだけではなく、知人の家を訪ねるときの贈り物や、普段の生活の中で花を飾るなど花に親しんでほしい」と児島さんは願っています。
 リーマンショック後、売り上げは25%ほど減りましたが、利益は上がっています。毎日、損益計算書を見て仕入れを調整し、ロスを少なくするなど経営者としての努力はもちろんのこと、スタッフと意見交換をしながら築いた信頼関係が経営を支えています。「売り上げを伸ばすためにどうしたらいいのかを考えてほしい。お客さんにどの花を勧めたいのか、買ってほしいと思う花を一番目につく場所に。何を勧めたいか分からないようでは、店の独自性は発揮できない」と経営者としての思いを伝えています。売り上げ、経費、利益率一覧、損益計算書、それぞれの給料をオープンにし、スタッフに考える材料を提供しています。信頼を寄せる姿勢がやる気を引き出しています。
 共有しているのは感性を磨くこと。「食卓に一輪の花を飾るだけで人の心は和む。われわれは癒やしの文化を提供している。その役割を発揮するために、音楽や芸術品に触れたときに素晴らしいと思える気持ち、悲しいときには涙を流し、うれしいときには心から笑える豊かな感性が必要」と語りかけています。
 紆余曲折もありました。28歳で独立し、一時は5店舗まで拡大。しかし、売り上げを伸ばすことだけに力を入れ、採算を度外視した経営では利益を生まず、バブル経済の崩壊とともに破たん。がけっぷちに立たされました。
 ちょうどそのころ、全国商工交流・研究集会で、当時東洋大学の吉田敬一教授の話を聞きました。「自分の商売は社会全体でどんな役割を持っているのか。誇りと意義がなければ商売は続けられない」。児島さんはその言葉にハッとしました。「何のために、誰のために、社会的意義は…」。突き詰めて考え、たどり着いたのが「花文化の発信」でした。「文明がどんなに発達してロボットの時代になっても人は癒やしを求める。花を通じて心の豊かさを提供したい」とあらためて確信した児島さんは1店舗に縮小して再出発しました。

民商の仲間らと商売伸ばしたい
 「民商運動で学んだことは商売にも生かせる。会議や学習会、行動に参加し、民商の仲間と話し合うことは自分自身のため。素晴らしい仲間から学べることはたくさんある。仲間とともに民商を、それぞれの商売を発展させたい」と目を輝かせます。保育園や小学校を訪ね、子どもたちに花を美しく思う気持ちや命の大切さを語り継ぐ"花育"にも力を入れたいと抱負を語ってくれました。

▽「花フローレ」
 〒649-0303 和歌山県有田市新堂10の3 オークワ箕島店
 Tel/ファクス=0737-83-2234
 HP=http://www.flore05.com
 Eメール=info@flore05.com

   
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