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  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第2949号 11月1日付
 
業種 製造・小売
 

私の中小業者宣言 安心の食品提供したい=米工房ひろおか


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目立つ看板の「米工房ひろおか」

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生産者の顔が見える無農薬、減農薬のお米

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スーパーでは見かけない調味料が並ぶ

 無農薬・減農薬の米や野菜、無添加の調味料など自然食品を販売し、年商1億円を超える有限会社広岡商店(米工房ひろおか)。事業主の広岡昭一さんは、埼玉・浦和民主商工会(民商)の会長でもあります。「厳しい時だからこそ遊び心が大事」と話す広岡さんのこだわり「米工房」を訪ねました。

 JR浦和駅から歩いて7分、閑静な住宅街を歩くとパッと目に入る「お米と自然食品の店・米工房ひろおか」の大きな看板。店全体に使われているのは青森ヒバの間伐材。木の香りが漂ってくるようです。店内に並ぶのは「工藤さんの無農薬コシヒカリ」「高橋さんのササニシキ」「小山さんのひかり新世紀」などのお米や、「もぐもぐ工房のお米でつくったお好み焼き粉」「ノン小麦・大豆醤油 真壁醤油」…。
 スーパーでは見かけないお米や商品ばかりです。米コーナーには、生産者の顔写真や「『土の力』を発揮させる自然農法で栽培しました」といった作り方も掲示されています。
 「自分たちが売りたいものを売っているだけなんですよ」と照れ笑いする広岡さん。しかし商品、売り方へのこだわりは人一倍です。
 お米は、栽培契約している7人の農家から直接仕入れ。いずれも10〜20年以上の付き合いで「農家と交流しながら一緒になって無農薬・減農薬の米をつくってきた」ものです。

温度や湿度で精米を微調整
 精米も温度や湿度で微調整。1、2度洗うだけでおいしいお米ができると評判の乾式無洗米機も設置しています。生産農家を招いて店舗前でのイベントも。「お米につけるおまけは有機野菜や大豆やみそなど。魅力ある商品だけでなく、売り方も大事なんです」
 今でこそ無農薬・減農薬の自然食品の店として知られる「米工房ひろおか」。しかし、広岡さんが事業主となった82年当時は「普通のお米屋さん」。配給制の名残で、卸から割り当てられたお米を売るだけの商売で、「納得できる売りたいものが売れなかった」といいます。

米の自由化きっかけに
 変化のきっかけは米の自由化と区画整理に伴う店の建て替え(85年)でした。「安心して提供できる食品を売りたい」。その思いが、新しい米屋づくりを後押ししました。
 農業問題の本を買いあさり、「消費者と手をつないだ産直運動」を呼びかけていた農民運動全国連合会(農民連)とも連携し、農家を歩いて回りました。田んぼ見学、農家との交流のなかで、人や地域とのつながりも広がっていきました。
 88年には、子どものアトピーを治すため取り組んだ食事療法をきっかけに食物アレルギー対応食品の販売を開始。「アレルギーを持つ親の会」にも参加した幸子さんは、以来20数年にわたりアレルギー対応食品集めに奔走。大豆アレルギーを持つ子どものため、米だけを原料にしたしょうゆを使ったせんべいを業者と共同開発したことも。いまでは1000種類以上に及び、全国でも十指に入る食物アレルギー専門店として存在感を増しています。
 07年には自然食品・アレルギー対応食品のインターネット販売を始め、すでに700人が顧客登録。地元のお客を集めた幸子さんの料理教室も好評で、新たな客層を広げています。「市場も狭いから購入するお客さんも限られています。でも大手との価格競争に巻き込まれない。これが他店にない強み」と幸子さんは力を込めます。
 しかし、08年のリーマンショックを機に「米工房ひろおか」の売り上げも減少傾向に。経営をどう見直すか。広岡さんが掲げるキーワードが「変化」です。
 競争から逃げずに生産者直送を生かし、大手スーパーに対抗できるお買い得なお米を販売。秋の収穫祭として景品や割引券が当たるクジや来店した子ども全員に風船を渡すなど、「遊び心」を取り入れています。
 「だからある人は米屋というし、別の人はパン屋さん、子どもたちは風船屋さんと呼んでいるんですよ」と楽しそう。
 民商運動でも(1)2時間で分かるパソコン会計(2)簿記学校(3)会社再建のための学習会など、会員の新しい要望に基づいた取り組みに挑戦中。「いままでの常識では経営も民商もうまくいかない。変化すること、これまでのやり方を全面的に見直すことが求められている」。広岡さんの言葉に力が入りました。

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 人を結び地域を支える中小業者。ものづくり、サービス、商品にもこだわりと誇り、生き方が詰まっています。「私の中小業者宣言〜この道を」は「今」を生き、「明日」に挑む中小業者の姿を追います。

事業の歩み
▼有限会社広岡商店(米工房ひろおか)
創業=1925年
事業内容=米穀・自然食品販売業
従業員=4人(パート2人)
営業時間=午前10時〜午後7時30分
年商=約1億円
所在地=埼玉県さいたま市浦和区本太1の1の1 Tel048(882)2942、ファクス048(886)0937
82年 広岡氏、有限会社広岡商店に娘婿として入社。民商入会
85年 自然食品の販売開始。米と自然食品の複合店舗に
88年 食物アレルギー対応食品の販売開始。無農薬米、減農薬米中心の販売に移行
92年 青森ヒバとしっくいを使った新店舗を建設
06年 広岡氏、浦和民商会長に就任
07年 HP開設。アレルギー対応食品のネットショッピング開始

   
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