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製造・小売
中古家電 これで商売が続けられる
リサイクル業者など
経産省 実質猶予延長認める
業者や消費者の声に押され
 「電気用品安全法による安全性を示すPSEマ‐クのない中古家電製品も販売できる」。3月24日、経済産業省は4月からPSEマークがないと販売禁止としていた中古家電について販売を認めました。各地の民商のとりくみや、リサイクル業者はじめ関連業者の反対、抗議の運動に押され、方針転換を迫られたものです。同法の対象に中古家電が含まれることを関連業者が知ったのは今年2月。このままでは廃業に追い込まれるほか消費者への打撃も大きく、反対運動が全国に波及。同日、二階俊博経産相も法案成立当時、中古家電に対する議論の形跡がなかったことを認め、政府のずさんなやり方が浮き彫りになりました。

 記者会見した「PSE問題を考える会」代表の小川浩一郎さんは「販売後の検査やレンタルなどの工夫をすることで、中古品販売が継続できることが了承された。猶予期間の延長をかちとったと理解する」とし、「法律の見直しを引き続き要望していく」と述べました。
 同席した同省の消費経済政策課の福田秀敬課長は、周知の不徹底で混乱が広がったことと、PSEマークをとるための検査機器の数が圧倒的に不足していることをあげ、検査体勢が整うまでとしつつも、「レンタルとすればPSEマークがなくても販売できる」と答え、実質PSEマークのない中古家電品の販売を認めました。
 中古家電を販売する業者は、消費者にレンタルという形で販売し、レンタル終了後無償譲渡することになります。省側は「レンタル終了後に検査することが条件」としていますが、検査をしたかどうかのチェックはなく、検査の期限を明確にはしていません。こうした「事後に検査をすることにしてPSEマークのない電気用品を販売する」というやり方について、福田課長は「レンタルの一環だ」と強調しました。
 さらに、福田課長は「4月1日を迎えたとき、リサイクル事業者が仕事が継続できるのか、これが第1の着地点であろうと(業者の方たちと)話し合いを詰めてきた。ただし、法そのものがいびつな形というか、不明瞭な部分も持っているので、今後とも継続して直すべきところは直すという話し合いをさせていただきたい」と前向きな姿勢を示しました。

業者が立ち上がって運動を推進
 これは電安法で中古家電が対象とされ、4月から一部が販売できなくなることから、全国の関連業者が署名、抗議行動に立ち上がり、全国商工団体連合会も政府交渉、署名運動を展開。世論に押され、経産省は3月14日に緊急対策を発表したものの、「猶予期間の延長」「中古家電の適用除外」に触れなかったことから、さらに抗議の波が広がり、PSEマークのない中古家電の販売を認めることに法解決の転換を迫られたものです。
 福岡県連の田口剛史副会長は「機敏にたたかったことが広く共感を呼んだ。政府がやることはあまりにずさんで、運動しなかったら業者はつぶされてしまう。業者の実態を反映させるよう引き続きとりくみたい」と話しています。

「行政責任を果たしてほしい」と迫る福岡県連の代表
「周知不十分」と回答
福岡県連 九州経産局と交渉
 福岡県商工団体連合会(県連)は3月23日、九州経済産業局と「猶予期間の数年間延長」で交渉。県内のリサイクル業者、民主商工会(民商)の会長ら10人が参加。経産局側は鶴崎光彦消費経済課長ら4人が応対しました。
 鶴崎課長は「このような機会を通して意見集約し、本省に伝える。要請書は本省に速やかに伝える。ただ延長にはすぐにはこたえられない」と回答しました。
 「国会審議で明らかになったように5年前には警察庁にリサイクル業者への徹底を要請していない。当初から対象なら、なぜ2月になって突然言い出すのか」と追求すると「周知が不十分で反省している」と答えました。
 参加者から「あと1週間しかないのに、検査機器の無料貸し出し体制をとったのは四国経産局だけ。4月1日になって検査できない業者はどうなるのか。どう責任をとるのか」と怒りを込めて追及。「今福岡県には機器が何台あるのか。対応できる検査機関はどこか」との質問には「調整中」と答えたのみでした。
 中古の楽器や音響機器を販売する南福岡民商の会員は「若いミュージシャンは収入はわずか。音楽文化をになう若者が活動できなければ文化がむしばまれる」と訴え、中古家電品販売の八幡西民商の会員は「卒業のシーズンで家電品の買い取りを求める学生に『処分料をもらわないと引き取れない』と言うと怒られた。本当につらい」と訴えました。マスコミ関係者も「当局の対応はあまりに後手後手だ」と驚きの声が上がっていました。

共感を呼んだ全商連の署名
訪問先ではどこでも怒り
群馬・前橋民商 署名に歓迎と共感
 群馬・前橋民主商工会(民商)は3月17日、署名を持って市内の中古家電業者34のうち17業者を訪問。訪問できなかったところは申し入れ趣旨と署名用紙を郵送。行動した大野豊文会長は「こんなに歓迎される行動はない」と話していました。
 訪問先ではどこでも怒りの声が出され、従業員全員が署名をする店もありました。
 家電品を扱う家具店の社長は「2月にいきなりだった。(PSE問題連絡協議会の)個人署名も集めている。商売変えも考えねば」と話し、電化製品のリサイクルショップは全商連の署名に賛同し、「今後どう運動すればいいのか困っていた」という中古雑貨店は「署名は預かって後で送る」と、署名に共感が広がっていました。
 ある店は署名用紙を預かってくれ、5日後、訪問したところ、「再利用こそ大切。親せきにも依頼している」と、用紙をコピーして集めた署名20人分を渡してくれ、ミシン販売修理業者は「うちも大変」と、15人分の署名を集めて民商事務所に届けてくれました。

リサイクルショップ「素人の乱」主催のPSE法反対デモでアピールする参加者
サウンドデモ
東京・豊島民商青年部ら若者が300人
 東京・豊島民主商工会(民商)青年部員らが経営する古着&リサイクルショップ「素人の乱」は3月18日、都内で電気用品安全法(PSE法)反対のサウンドデモをおこない、300人が参加しました。デモ出発前の集会では、主催者の松本哉さん(30)が「使えるものを捨てさせる、そんな政府の企みをけ散らしましょう」と訴えました。
 ビラやインターネットでサウンドデモを知った若者たちはPSE法で規制対象になる中古家電製品や楽器を持ち寄り、先頭車両に積んだ中古デッキやスピーカーの音楽に合わせてPSE法の問題点をアピールしました。
 デモ終了後、アーティストの曽我部恵一さんがPSE法反対を訴えて生演奏を披露し、大いに盛り上がりました。
 「素人の乱」のホームページで参加を呼びかけた小笠原瓊太さんは「デモが成功してよかった。ネットだけでなく、マンガや多くのメディアで一般の人たちにPSE法の問題を提起したい」と話していました。
 デモに参加した岡部泰成さん=中古家電修理・電気工事=は「修理業者にとっては商標権と修理後の事後責任の問題がある。この件でも経産省には責任がある」と怒りの声をあげていました。

聞き取り調査 先延ばしを
北海道・旭川民商
 北海道・旭川民主商工会(民商)は3月7、8の2日間、市内48件の家電販売店に電話で聞き取り調査をおこないました。中古家電を扱っていたのは6店舗で、扱っていない店も「もう少し実施を先延ばししてほしい」との声が多数を占めました。
 「家電品をリサイクルに出せなくなった」「ガソリンスタンドから洗車用の中古の洗濯機の注文が来ているが、売ることができなくなった」など直撃を受けているのがリサイクルショップ。会員の後藤裕美子さん=リサイクル店=は「とんでもない話だ。在庫を投げろというのか、国は何を考えているのか」と怒り心頭でした。後藤さんは「猶予期間延長を求める請願」署名を訴え、広げています。
 
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