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製造・小売
PSE(電気用品安全法)
中古家電規制の猶予期間延長を
全商連が署名運動
自主検査など 経産省が支援策発表
 「中小家電リサイクル業者の負担軽減措置をとる」‐電気用品安全法で4月から安全性を保証したPSEマークのない中古家電製品が販売・取引ができなくなることに対し、経済産業省は14日、このような緊急対策を発表、ビンテージものと呼ばれる電子楽器などは除外するとしました。この間の民商はじめ、リサイクル関連業者の敏速な運動が一部実ったものですが、リサイクル業者の要求は生活関連のすべての中古家電を適用外にすることにあり、当面、中古家電規制の猶予期間の延長などの運動を強めることが大切になります。

経産省に迫る
10日、国会内で開かれた「PSE問題を考える会」の集会には山口、広島など各地から関連業者が駆けつけ、経産省の担当者を追及、「このままじゃ商売できん」と詰め寄りました。
 14日、閣議後記者会見した二階俊博経産相は、「省に質問が集まっている状況のなか、精いっぱい省をあげてとりくむことが大事」と発言。業者、消費者などの抗議に対応策をとらざるを得なかったことを認めたものの、「川を渡っている最中に馬を途中で乗り換えることはできない。やらせていただく」と、あくまで中古家電を法の適用外とすることはしない姿勢を示しました。
 省が発表した「電気用品安全法の経過措置の一部終了にともなう対策」は、事業者の負担を軽減し、新制度への移行を円滑にするためとして次の3点をあげています。
 (1)PSEマークをとるための絶縁耐力試験などの自主検査にあたり、事業者の負担を軽減するため、全国500カ所で検査を受けられる体制を整える(6月までには十分な体制をとる)。具体的には▽独立行政法人などを活用し、全国で中小事業者に検査機器の無料貸し出しをする▽電気保安協会の協力のもと、無料で出張検査サービスをする▽都道府県、市町村などに設置される公設試験所に対し、検査機器の貸し出しを要請、必要な機材の整備をする。
 (2)マークをとる上で必要な届出書類は徹底的に簡素化し、1枚とする。
 (3)ビンテージものと呼ばれる電子楽器などは要件を満たす場合(すでに生産が終了し、代替不能でかつ、希少価値が高いもの)は除外とする。
 これは、2月に全国商工団体連合会(全商連)が、経産省に要求した「中小業者の負担への対応」「文化的価値の高い製品の適用除外」が反映したものとなっていますが、一番要求の強い「中古家電品の適用の延長」にはまったく触れておらず、「一部のビンテージのみを適用除外したことで運動の分断を狙ったのではないか」との声も出ています。

消費者の要求は安い生活必需品

 「PSE問題を考える会」代表の小川浩一郎さんは「対応してくれたのは評価するが、根本的に違うものが出た。これは一部のマニアだけのものだ。全国のリサイクル業者が営業を続けてこられたのは、安く生活必需品を買いたいという消費者の要求があったからこそ。これにこたえられる商売ができないのではだめだ。無料検査というが、搬入・搬出の費用がかかる。それにわれわれは毎日買い取りをしており、果たしてどこまで対応できるか疑問。経過措置を延長してほしい。その間に運動を広げてすべての中古家電を対象からはずしたい」と強調しています。
 また、トラックに多彩な中古楽器を乗せた「電気用品安全法反対」の都内デモを呼びかけている「リサイクルショップ・素人の乱」の松本哉さん(東京・豊島民商会員)は「話にならない。そもそもこの法改正は新品向けだったことは明らか。中古家電はすべて適用除外にすべきだ。デモへの問い合わせが続々きており、広く社会に訴えたい」と話しています。

「中古品小売業者の営業を守れ」と局の姿勢を正す愛知と三重の参加者
行政の責任認める
愛知県連と三重県連 中部経産局交渉
 愛知県商工団体連合会(愛知県連)と三重県連は9日、電気用品安全法の施行にともなう緊急の中部経済産業局交渉をおこない、県連役員、中古品小売業者、中古品輸出業者、消費者団体関係者など22人が参加。日本共産党の八田ひろこ元参議院議員が同席しました。
 局からは、壁谷勢津子・産業部消費経済課製品安全室室長らが応対。四つのテレビ局と、朝日、読売、中日、中部経済などの各紙が取材・報道しました。
 緊急要望書は(1)電気用品安全法の適用から中古電気用品を除外すること(2)当面、中古電気用品への適用は延期し、周知・徹底をはかること(3)中古電気用品のリサイクル体制の確立・整備のための支援‐です。
 交渉に先立ちリサイクル再生事業組合など18団体に、緊急要望書を郵送し、意見を求めたところ、衣浦再生資源事業協同組合が「(該当商品を)扱ってはいないが賛同する。輸出されている業者さんも、リサイクルと言う見地からも廃棄になれば大変なことになると思われるので、中古品の規制に反対」、名古屋質屋協同組合が「事前の説明がほとんどされていないため、業界のほとんどの人が知らないという現状。中古品を取引している質屋業には大変なこととなっている。よろしくお願いしたい」と、賛同を表明しました。
 壁谷室長は、「法律で新品と中古品を区別して規定していないので、中古品を除外することは難しい。広報は不十分だったが、延期すると、すでに対応している業者、レンタルに切り替えている業者もいるので混乱を招く。延期は考えていない。HPで知らせているが、新聞広告、リーフレットなどを作成し、さらに努力する。自分のところで自主検査できなければ、外部委託の紹介もできる」などと回答しました。

批判や疑問続出
 参加者からは「国民に重大な影響を及ぼすものを、なぜ今まで隠すような対応をしていたのか」(輸出業者)、「国の循環型の政策に逆行している。使える物が売れず、ゴミになる。消費者はいつも新品ばかり買うわけではない。PSEマークを張ると簡単にいうが、PL法との関係で責任を中小業者に押し付けるものでないか」(消費者)、「市役所の職員すら知らない。若い人がリサイクル店を開業している。行政がそれをつぶしていいのか」(業者婦人)、「29年間、中古品小売業をしているが、店にある商品は4月1日から売れないものが大半。販売できないことを2週間前まで全く知らなかった。許可を取って営業しているのに急にやめろとは何事か。いったいどこに、いつ通達を出したのか」と、次つぎと批判、疑問の声があがりました。
 壁谷室長は、「2月に入って経済産業省から警察庁を通じて、古物商の団体に案内を出していると聞いている」などと回答し、周知・徹底が不十分だったことを明らかにしました。また、中古品小売業者の店にある商品がゴミになる責任について正すと、「その責任はある」と認めました。
 参加者が「周知徹底を怠ったのは当局の責任。2週間前から知らせているなら、今から5年間延長するのが当然ではないか。国民の財産を勝手に奪うなんて許せない。国民の財産保護の立場をどう考えるのか」と追及すると、「分からない」と回答できませんでした。
 また、「コンセント付きの子ども机が猶予期間5年なのに、コンセントのみが10年なのはなぜか。コンセント付き家具が販売禁止なら中古住宅はどうなるのか。レンタルはいいが販売は禁止ではおかしい」など疑問、意見、不満の声が噴出。
 違反のときの罰則について壁谷室長が、「1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金」と答えると会場内にざわめきが起き、「そんな重大な法律をなぜ黙っていたのか、不徹底で許される問題ではない」と怒りの声が沸きあがりました。
 森田茂愛知県連副会長は、この動きは小泉構造改革の一環だと指摘し、「行政が安全検査を民間に丸投げしたことで、家電事故が02年の674件から04年は1024件に倍増した。今の行政の対応では国民の安全は守れない」と、意見や要望を本庁に伝え、局として中古品小売業者の営業ができるように力を出してほしいと要望しました。
 壁谷室長は、「意見は、しっかり伝えることを約束する」と述べました。

怒りととまどい
福岡・南福岡民商 中古家電店を訪問

 福岡・南福岡民主商工会(民商)は8日、電気用品安全法の問題を報道した商工新聞などをもって地域の商店街にある中古家電販売業者を訪問。市川哲夫会長ら3人で手分けして聞き取りをしましたが、怒りととまどいの声が多数寄せられ「署名用紙があったらやりたい。協力する」という声も出ました。民商では結果をニュースで知らせ、対応を考えていこうと話し合っています。
 訪問先の声は以下のとおり。「影響は大きい。ビンテージものが売れないのが大変だ。情報があったら教えてほしい」「5年前の商品は扱っていないが、大きいところは在庫を抱え大変だと聞いている。頑張ってほしい」「アダプターが付いている商品の猶予期間は後2年あるので、それまで頑張る」「お客さんのなかには、どうせ売れなくなるならタダでくれという人もいる。冷蔵庫は処分すると4500円くらいかかる」「今ごろはいつも買い取りをしていたが、2月以降買い取りができない。民商に入ろうかと思っていた」「PSEマークの商品を仕入れると高くつく。処分するしかない」

29日、国会行動 署名提出へ
 全国商工団体連合会(全商連)は緊急に「中古家電規制の猶予期間の延長を求める請願」署名運動にとりくみます。署名は29日の国会行動で提出、当日は国会内で集会した後、議員要請をおこないます。中古家電問題を報道した商工新聞をもって関連業者と対話し、署名を集めるとともに業者の声を政府にぶつけましょう。
 
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