私の中小業者宣言　地域密着で安心の家づくり＝（有）大石建築

お客様や同業仲間を大切にしながら地域に貢献する大石さん（左）と邦子さん

　地域で生まれ、地域で育ち、地域に貢献する有限会社大石建築。町の工務店が大手住宅メーカーの手間請けとして吸収・淘汰されていく中で、確かな技術で顧客本位の仕事にこだわっています。大手にはまねのできない地域の小さなニーズにも応え、創業47年目を迎えています。

大手にまねのできない営業

　有限会社大石建築のモットーは「適正価格で良質な建築を提供する」こと。
　社長の大石優さんは「住宅はただ住むだけではない。健康的で安全性が追求され、安心して住んでいられる。そんな当たり前の家づくりをめざしている」と語ります。
　地域のお得意さんを大切にする姿勢を貫き、新年・お盆・暮れには、約360軒のお客さまにあいさつ回りをします。訪問を待っている人も多く、「水道を見ていってほしい」と修繕やリフォームなどの仕事に結びつきます。地域には農家が多く、「田んぼのせき止め板を作って」という依頼にも気軽に応じています。

確かな技術でお客さま本位の仕事にこだわる有限会社大石建築のチラシ

　「最近は、階段の手すりなど介護住宅改修工事が増えている」と大石さん。地域に密着して小さなニーズにも丁寧に応える有限会社大石建築の営業手法は、大手にはまねのできないものです。
　また、「オール電化」「太陽光発電システム」「エコリフォーム」など、新しい住環境にも対応し、チラシもつくって、地域に知らせています。
　4、5年前に欠陥住宅やシックハウスなど、住まいの安心・安全が問題になりましたが、有限会社大石建築は一貫して在来工法にこだわり、地域の住まいを守ってきました。

自社の加工場で、柱に墨を入れる大石さん

地域貢献を経営方針に

　1942年に県内の菊川町（現在は菊川市）で農家の子として生まれ、中学卒業後に職業訓練校に通い、大工に。5年間の修業を経て、22歳の時に開業しました。
　創業資金は、農協などで都合しましたが、地域の有力者などからの口添えや支援もあって実現したもので、「今でも深く感謝している」と大石さん。地域に貢献する経営方針は、この時に生まれました。
　高度成長期は新築工事が多くあり、施主さんに順番待ちしてもらうことも。しかし、近年の不況による影響は深刻で、新築の注文はほとんどなくなる状況に。地域密着の営業があるからこそ厳しさを乗り越えてきました。
　大切にしているのはお客さまだけではありません。「22日会」と称した同業者仲間の会合を2カ月に1回開催。毎回15人前後が集まり、仕事の情報交換や愚痴なども出し合い、仲間同士励ましあっています。
　「22日会」の仲間は全員が全国商工新聞の読者。住宅瑕疵担保問題など「業界の話題が役に立っている」といい、雇用安定助成金も活用し、不況に負けない力をつけました。最近では「住宅ローン金利引き下げ」が話題になりました。大石さんは「上下関係のない地元の同業者が支え合いながら発展することで、よりいっそう地域に貢献することができる」と言います。

仕事おこしなど自治体に要望

　浜松民商では副会長を務め、所属する駅南支部白羽班は、約30年間班会を続けています。班会では全国商工新聞の読み合わせを欠かさず「中小業者を取り巻く情勢を学ぶことで、仲間の意識が高まっていく」と、班会の意義を語ります。
　浜松市では、ヤマハ、ホンダといった大企業が撤退・縮小する中で、地域経済が大きく疲弊しています。大石さんは、民商運動を通じ、市に対し「リフォーム助成制度」や「小規模工事登録制度」などの地域経済振興策を要求。「今まで後ろ向きだった市が、中小製造業の実態調査を始めるなど変化が生まれている」と話し、不況を打開していく運動にも尽力しています。
　妻・邦子さんは全商連婦人部協議会の会長。業者婦人の地位向上を求める運動の先頭に立ち、所得税法第56条廃止運動は、実現まであと一歩のところまできています。