復興へ力を合わせ 被災業者に積極融資を

全国商工新聞 第3332号10月15日付

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11金融機関に要請

 広島県商工団体連合会(県連)と県内民主商工会(民商)は9月11日から19日にかけ、西日本豪雨被害を受けた中小業者への親身な支援などを求め、県内に本店を置く11の金融機関(銀行・信金・信組)に懇談・申し入れ活動を行いました。藤井賢次郎県連副会長を先頭に、延べ45人が参加。民商・広島県連が20年以上続けてきた活動で、金融機関と民商の“信頼関係”も築かれており、和やかに懇談。災害支援をめぐって「力を合わせること」を共有しました。

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しまなみ信用金庫に要請書を手渡す藤井賢次郎・広島県連副会長(左)

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広島銀行に要請書を手渡す坂井哲史・広島西部民商会長(右)

 申し入れ行動の最大の重点は、7月の西日本豪雨災害の復旧・復興です。民商は、被災事業者の困難打開に向け、グループ補助金や持続化補助金などの活用に全力で取り組んでいることを伝え、金融機関の支援方針について尋ねました。

被災が理由の廃業生まない 広島銀行

 広島銀行は、「当行顧客被災者は2000件。直ちに対策融資をつくり支援を行っている。原則的に謝絶せず、被災を理由に廃業に追い込まれる業者を出さないこと」と明言。迅速な支援を行っていることを表明しました。

業者の最後の砦として支援 広島市信用組合

 広島市信用組合は、「被災者の方のところに出向いて相談に応じている」と回答した上で、同組合の山本明弘理事長がNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演したことを紹介。「番組で理事長が話した通り、中小業者の最後の砦だと思って対応させていただいている」と発言しました。
 すべての金融機関が被災者支援は地域に根づく“金融機関の役割”と位置付けており、民商の取り組みへの評価と合わせ、心の通う懇談となりました。

理由なければ反面調査断る 各金融機関

 税務署による金融機関への反面調査(任意調査)への対応について、11金融機関とも「(民商の)申し出の通り対応している」とし、反面調査の際には、預金者本人に連絡すること、預金者の承諾のない「調査依頼」には応じないことを明らかにしました。
 懇談では「税務署といえども、当行にも高い守秘義務が求められている」「合理的な理由がなければお断りする」「申し入れ内容をすべての支店長に直接伝えている」「会議・研修会で徹底している」などの声も出されました。福山市に本店を置く備後信用金庫は「2年前に顧問税理士と協議し、民商さんの申し出の通り対応することにした」と回答。これまでの“税務署に無条件に協力”してきた対応を改めたことを表明しました。
 20年余にわたり地域の金融機関と懇談を重ねてきたことで、信頼関係が深まり、変化を実感できる懇談となりました。

金融機関本店への申し入れ事項

 【融資相談の要望】
 (1)豪雨災害の被災や間接被害に遭った事業者の相談に乗り、融資や返済猶予等、あらゆる支援策を講じること
 (2)中小業者の実情をきめ細かく聞き取り、要求に見合った資金供給を迅速に行うこと
 (3)「経営者保証に関するガイドライン」を周知し、経営者保証に依存しない新たな融資の適用を進めること
 (4)中小業者に有利な融資制度を積極的に紹介・活用し、フリーローン・カードローンへの誘導は行わないこと
 (5)事業資金等の返済条件の緩和(条件変更)の申し出に積極的に応じ、「条件変更改善型借換保証」に積極的に取り組むこと
 (6)「創業」「小規模事業」むけの100%保証制度(限度額2000万円)を活用した積極支援を図ること
 (7)セーフティネット保証5号の保証割合が縮小されたことによる貸し渋りは行わないこと
 (8)信用保証制度の擁護・発展のため「責任共有制度」の見直しを
 【税務調査対応】
 (1)税務署による金融機関への反面調査(任意調査)等の際には、納税者である預金者本人に必ず連絡すること
 (2)預金者の財産と秘密を守り、納税者の権利を守る立場を堅持し、預金者の承諾のない「調査依頼」には応じないこと

損保代理店の苦境打開へ 11月2日に現状と未来考える集会

 連続する地震、台風、豪雨…。災害列島日本でセーフティーネットの社会的役割を果たす損保代理店は「手数料ポイント」や「乗り合い拒否」で経営的に苦境に陥っています。ライフラインともいえる損保代理店の声を金融庁、国会に届け、「代理店の現状と未来」を考えます。
 日時=11月2日(金)12時~15時
 場所=参議院議員会館101
 内容=基調報告「いまや損保代理店は日本のライフライン」松浦章氏、参加者からの発言など。
 申し込みは院内集会実行委員会 TEL06・6202・3108

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