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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3059号2月18日付
 
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九電は値上げ中止を 公聴会で意見陳述=福岡

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大勢のマスコミが詰めかけ注目された「公聴会」

 九州電力の電気料金値上げについての公聴会(経済産業省主催)が1月31日、2月1日の両日に開かれ、福岡県商工団体連合会(県連)の柳明夫事務局長が意見陳述を行いました。中小業者の経営実態調査や民商会員の怒りの声に基づき、値上げの不当性や高すぎる役員報酬の実態を示して、「料金値上げは認められない」と厳しく批判しました(要旨別項)。NHK、RKB、KBC、TNC、FBS、テレQなどテレビ各局が取材・放映するなど大きな注目を集めました。
 公聴会は2日間で35人が意見陳述(1人は文書発言)。1人を除いて電気料金の値上げに反対し、ほとんどの陳述人が「値上げは原発再稼働への脅し」と、九電の姿勢を鋭く追及しました。九電からは瓜生道明社長など経営陣トップが出席、主に瓜生社長が回答しました。
 この中で同社長は「値上げ申請の撤回や値上げ幅の引き下げはしない」、「役員報酬は他の電力会社と比べて高くはない」、「原発は今年のうちに再稼働させていただく。原発が稼働しなければさらに電気料金を引き上げる可能性がある」など、批判にまったく耳を貸さず、陳述人や傍聴人の怒りを買いました。
 マスコミも公聴会全体を「九電値上げに反発の声相次ぐ」「九電不信色濃く」として報道しました。

福岡県連の意見陳述(要旨)
中小業者と地域経済に打撃 事業報酬もコストも見直せ
 長期にわたる不況や相次ぐ増税、社会保険の負担増などで小さな事業所ほど経営は厳しく、従業員4人以下の事業所数は11年前の01年の事業所企業統計調査と比べ、17・4%も減少しています。
 私どもが行った「中小業者経営実態調査」(12年3月)では、1年前と比べて売り上げが減少した事業所は67%と3分の2を占め、消費税を価格に転嫁できない事業所は70%も占めています。売り上げの減少と消費税分の負担というダブルパンチを食らっている状態です。
 このような中で、九電の値上げが、消費税増税と重なったら中小零細業者の経営の苦しさに拍車をかけ、地域経済にも極めて深刻な影響をもたらすと考えられます。
 事業者からは「値上げされたら年間20万円の負担増になる。親会社に電気料の上乗せはいえない。消費税も上がったらとてもやっていられない」など切実な声が上がっています。ぜひこの声を真摯に受け止めてください。
 その上で九州電力が値上げの根拠としている原価の内容について、問題点をいくつか述べたい。
 燃料費の増大がまず根拠になっていますが、九電は原発依存度が4割と高いことがそもそもの問題です。燃料の構成の中でLNG(液化天然ガス)の発電量に占める割合は平成24年度上期で44%と高くなっています。しかも調達価格は平成23年度は他電力会社の平均より高くなっています。東京電力はアメリカより9倍も高い価格でLNGを購入していることが問題になっていますが、九電はそれ以上の高額な調達価格なのでしょうか。
 総括原価方式に関わる問題ですが、事業報酬についてです。値上げ案の事業報酬は889億円であり、総原価の5・93%です。九電の「値上げ申請の概要について」によれば、玄海・川内の原発や火力発電所などの電気事業固定資産、核のゴミである使用済み核燃料などの核燃料資産、特定投資運転資本などのレートベースの合計に、報酬率2・9%をかけて算出したとあります。このやり方であれば、資産価値の高い原発や核のごみが多いほど高額になります。
 なぜ事業報酬が原価に計上できるのか。それは資金の調達費用であるからとされていますが、事業報酬は実際のコストよりかなり大きく乖離していることは各方面から指摘されています。九電の平成23年度決算の支払利息は322億円、24年度の予想でも360億円です。しかも配当は行わないと発表しております。そうであれば360億円を原価に算入しても、520億円も余ることになります。現行の電気料金であれば1516億円収入が不足すると発表していますが、その3分の1にもなります。事業報酬は根本的に見直すべきです。
 さらにレートベースに含まれる特定投資は、平成20年度の157億円に比べて、今回の原価には739億円と4・7倍も多く計上しています。
 その内訳は日本原燃への増資などです。日本原燃とは、六ケ所村の核燃サイクルそのものであり、再処理技術はいつ確立できるか見当もつきません。そこへの増資にこれだけの金額を計上するなど、とても納得できません。
 さらに、電気料金審査専門委員会に出された「人件費」の資料によれば、役員報酬を削減して取締役・監査役の合計で6億6400万円にするとあります。
 取締役1人当たりは35%の減額で3200万円といかにも大きく減らしたように見えますが、減らしたと言っても1人3200万円はあまりに高すぎます。
 中小零細企業の社長は、経営が危機に瀕したとき、自分の給料をゼロにしてでも従業員に給料を払い経営を守ります。自分たちの会社である九電の経営が危機だと考えるなら、利用者に負担を押しつける前に、会長や社長をはじめとした役員が率先して給与を大幅に下げるべきです。
 顧問3人に8900万円を払って雑給に入れているとありましたが、1人3000万円にもなります。顧問というのは社長OBであり、なぜこんなに高いのですか。
 家庭、中小業者への販売電力量は41%なのに、そこからの利益は59%という大口ほど安い料金体系も見直すべきです。
 許し難く思うのは、第12回電気料金審査専門委員会で、原発が今後も再稼働できなければ35%の値上げが必要との試算を示していることです。
 これまでの経営や原価、部門別の料金体系の在り方を根本的に反省することなく、このような試算を発表するのは、玄海・川内の原発フル稼働をいやが応でも認めさせようとする圧力、脅しとも言えるものです。福島のあの惨禍を前にしてもなお原発にすがろうとするあなた方九電トップの経営姿勢にこそ、九州電力という企業の最大の問題点があると思います。
 私たちは電気料金値上げにも、原発再稼働にも反対します。

全国商工新聞(2013年2月18日付)
 
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