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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3047号 11月12日付
 
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原発事故被害 完全賠償もとめシンポ 東電・政府と交渉

 東京電力福島第1原発事故の完全賠償をめざそうと10月25日、結成1周年を迎えた「完全賠償連絡会(完賠連)」(別項)は東京都内でシンポジウムを開催しました。弁護士、税理士、研究者をはじめ、福島、宮城、茨城、大阪など8県から54人が参加。東電による賠償拒否や後退姿勢が見られる中、東電・国の責任を追及し、全国的な賠償請求運動を強化することを確認しました。翌26日には、東電本店、経済産業省と交渉。経産省交渉では、賠償のガイドラインを定めた中間指針は「最低限のものであり、東電が適切に賠償しているか指導したい」との回答を引き出しました。

シンポジウム
賠償金の非課税要求

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賠償運動の方向性を語り合ったシンポジウム

 シンポでは全国商工団体連合会(全商連)の菊池大輔副会長が「原発事故の被害が今も続く中で、完賠連の運動は貴重なたたかい」とあいさつ。構成団体の自由法曹団、税経新人会、全商連がそれぞれ活動報告しました。
 自由法曹団の馬奈木厳太郎弁護士は、原発推進勢力の新たな巻き返しの中で、賠償請求についても東電が今年7月以降、賠償の「切り捨て」「打ち切り」に変化してきたことを指摘。「中間指針の枠組みを変えさせ、国の責任を問う取り組みの強化」を訴えました。
 税経新人会の佐伯正隆税理士は、賠償金への課税について「賠償は所得補償ではなく、事業の再建費用であり、課税すべきでない」と強調。全商連の勝部志郎常任理事は、賠償請求で民商の自主計算・自主申告運動が大きな力を発揮したことに触れ「事故がなければ生じることのなかったすべての損害を賠償の対象」とする運動の強化を呼びかけました。
 福島の参加者は、これまでの賠償が1900件、38億7100万円余りに上ることを報告。東電から賠償を拒否された実例も相次いで紹介されました。
 大阪から駆け付けた税経新人会の清家裕理事長は「原発被害はこれから何十年も続く。被害額の算定を簡単に済ますこと自体問題。賠償金への課税も応能負担の原則からいえばありえない」と訴えました。
 シンポは、中間指針の改善や国の責任追及、賠償金の非課税実現のため、地域や団体の共同を全国に広げることを確認しました。

東京電力本店
誤りを認め再検討約束

 26日の東電本店交渉には、不当な理由で東電に賠償を拒否された被害者(別表)ら25人が参加。この中で、東電が賠償に当たって二重基準を設けたり、中間指針を歪曲する対応をしていることも判明しました。
 茨城県では干しイモ農家などに対する賠償の算定方式について、農協や県などでつくる協議会と東電が合意しています。参加者が民商にも同方式の適用を求めたのに対し、東電は「それを他の団体に適用するかは別問題」と回答し、賠償に二重基準を持ち込んでいることが明らかになりました。
 参加者が「団体や被害者によって差別するのか」「賠償基準を東電が決めるのはおかしい」と詰め寄ると「誠意をもって再協議したい」と答えました。
 また、「外国人客相手の取引のみを行っているのは観光業とはいえない」(東電回答)として賠償を拒否された群馬の創作人形業者は、「一体どこにそんな言葉が中間指針に書かれているのか」と激怒。東電は「今日の話を踏まえ再検討したい」と、事実上自らの誤りを認める形となりました。
 交渉の中で東電社内に「審査部」なるものを設置し、同部が賠償についての「査定」を行っていることも明らかになりました。

東電による賠償請求の拒否事例

経済産業省
中間指針は最低基準

 東電本店交渉後、参加者は経済産業省と交渉。東電交渉で明らかになった二重基準の問題や東電が中間指針から外れた独自の査定を行っていることを追及しました。
 応対した資源エネルギー庁原子力損害対応室の西田亮三企画調整官は「指針は最低限の基準であって、指針にのっていないから賠償できないという理由づけはしてはいけない」と回答。
 二重基準問題についても「賠償の公平性の観点からいってもおかしい」とし、「適正に賠償しているか東電を指導したい」と答えました。


▼完全賠償連絡会(完賠連)とは
 正式名称は「福島原発被害・完全賠償請求中小業者連絡会」。福島原発事故に伴なう中小業者の被害の完全賠償をめざし、全商連が呼びかけ11年10月30日に結成された。自由法曹団、税経新人会全国協議会、全国商工団体連合会(全商連)の3団体で構成。賠償に関わる相談会・計算会などを各地で開催、東電や政府機関への交渉などを行っている。

▼東電の窓口となった県連一覧
 10月26日の東電交渉で、東京商工団体連合会(東商連)、群馬県商工団体連合会(県連)が東電の交渉窓口となることが確認されました。この結果、東電との交渉窓口は次の7県連となります。
 宮城県連、福島県連、群馬県連、埼玉県連、茨城県連、東商連、神奈川県連

全国商工新聞(2012年11月12日付)
 
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