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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3017号 4月2日付
 
 

東電損害賠償 群馬・宮城でも実現

 福島第1原発事故被害に対する損害賠償請求が各地で進んでいます。福島県のほかにも、群馬や宮城県で請求運動が取り組まれ、ペンション、シイタケ原木、旅行業者の民主商工会(民商)会員が損害賠償を相次いで実現しています。

嬬恋のペンション 風評被害で賠償申請=群馬・吾妻

 「みんな後に続け」―。東電への損害賠償請求で28万円の賠償金の合意が実現し、意気軒高なのが群馬・吾妻民商の会員。嬬恋村でペンションを経営しています。
 確定申告のための自主計算を進める中で、風評被害による売り上げ減少の実態を実感しました。東電が完全賠償を渋っている実態を知るにつれ「賠償請求をやろう」と挑戦を決意。民商と相談しながら請求用紙に記入し、3月初めに、28万円の損害を受けた(昨年9月から11月分)として東電に請求しました。
 その結果、3月15日に東電と合意。全額が払われることになりました。
 福島県の南西に隣接する群馬県の観光業は「中間指針」でも、福島・茨城・栃木の各県とともに観光業の風評被害の対象とされました。特に群馬県北東部の吾妻郡は、福島原発の事故後、高い放射線量が計測され、6町村中3町村が除染重点調査区域に指定されています。
 こうした報道が広がるにつれ、温泉地をはじめ郡内の観光地は風評被害が直撃。震災直後のキャンセルはゴールデンウィークなどで一定回復したものの、売り上げは低迷したままです。
 吾妻民商では、昨年10月に中之条町の会員が賠償請求に挑戦し、2度の請求で100万円以上の賠償を獲得しました。
 しかし、観光地を抱える嬬恋村では、賠償請求が話題になったものの、直接の被害でないことや「請求書の書き方が難しそう」などと具体化が進みませんでした。
 しかし今回の賠償実現で地域は一変。ペンションなど5人の仲間たちが請求の準備に取り掛かるなど、賠償請求の運動が地域に広がっています。本人自身、さらに昨年12月から今年2月までの損賠としてさらに60万円を請求しています。
 民商は「請求すれば賠償は実現できる。みんなで請求しよう」と嬬恋村と長野原町に3月15日、2000枚のビラを折り込み、請求運動への参加を呼びかけています。

旅行業者も風評被害の賠償実現=群馬・桐生

 旅行業界が損害賠償に消極的な中で、1人で賠償請求に挑戦し、実現した会員がいます。群馬・桐生民商の会員で、桐生市内で旅行業を経営しています。
 この方は原発事故による風評被害で半年の間に2000万円以上の売り上げ減に。震災直後は9割、5月に入っても8割減と深刻な事態に直面しました。「例年、月平均の売り上げは1000万円以上。ところが昨年の4月は100万円。仕事になりませんでした」と振り返ります。
 昨年10月ごろから、損害賠償請求を考え、東電のコールセンターにも連絡。しかし返ってきた返事は「旅行業は難しい」でした。
 東電の担当者を呼んでの旅行業界の説明会にも出席しました。しかし東電が持参した請求書もごくわずか。
 商工新聞の購読を通じて風評被害の請求をしている事例を知り、「まずは資料を取り寄せ、請求してみよう」と決意。会社の役員とともに膨大な資料を作り上げ、今年1月10日、営業損害の賠償を請求、2月14日に3月から8月までの6カ月分の請求どおり約500万円が支払われました。「被害があれば遠慮せずに請求することが大事。民商にも大いに相談してほしい」と話しています。

シイタケ原木業者にも賠償=宮城・仙南

 宮城・仙南民商は、損害賠償請求の学習会を積み重ねる中でこれまでに7人が東電に対する賠償請求を行い、3月20日までに3人に賠償が支給されています。
 請求した7人は、農業、小売、製造小売、、肉牛、シイタケ原木の生産者と多彩。このうち出荷停止を受けた肉牛農家に対しては農民連、農協などの運動もあって年内に請求金額通りの合意書が東電から送付され、約50万円が支払われました。
 昨年11月末に森林組合が出荷自粛を行ったシイタケ原木については、3人の生産者が請求。3人に合意書が送付され、約170万円の請求をした生産者には約120万円が提示されています。しかし賠償金の計算方法が、請求内容と異なっており、東電に説明を求めることにしています。
 民商では「シイタケ原木に対する賠償は全国的にも珍しく大きな成果。昨年11月末に取り組んだ学習会が大きな力になった。農業資材、観光地や飲食店・直売店などにも賠償請求の運動を広げていきたい」としています。

完全賠償連絡会 相談会にのべ161人=福島

 東電福島第1原発災害の完全賠償をめざす「福島原発被害・完全賠償請求中小業者連絡会」(完全賠償連絡会)が結成以来、福島をはじめ被害を受けた四つの県内の民主商工会(民商)の要望に応え、これまでに8カ所で相談活動を行い、計161人が参加していることが分かりました(3月25日現在)。
 完全賠償連絡会は昨年10月30日、全国商工団体連合会(全商連)、自由法曹団、税経新人会全国協議会(税経新人会)の3者で作られたもので、(1)県連・民商が行う損害賠償請求者への相談・説明会などに弁護士、税理士は専門家として援助・協力する(2)必要に応じて東電や国などとの要請行動を行う-などを申し合わせています。
 同連絡会は結成以来、福島、宮城、埼玉、茨城の四つの県の県連や民商で相談活動を実施。弁護士は5カ所に、税理士は4カ所に参加しています。
 3月7日に全商連で行われた東電交渉には、連絡会の弁護士や税理士とともに大門実紀史参院議員も参加し、賠償金に課税しないことを要請。実質非課税をかちとる大きな力となりました(商工新聞3月26日号参照)。
 自由法曹団の馬奈木弁護士は、「各地で相談会が予定されています。完全賠償をかちとるには学習・相談会の開催が不可欠です」と語り、同連絡会への参加要請(全商連が窓口)を呼びかけています。

全国商工新聞(2012年4月2日付)
   
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