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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3008号 1月30日付
 
 

復旧補助金10億円 被災中小業者に笑顔=宮城

 東日本大震災で被災した宮城県内の民主商工会(民商)会員が、国や県創設の施設や商店再開などに対する補助事業を活用し、63社で認定され、10億円を超える交付を実現しました。宮城県商工団体連合会(県連)が10日、まとめたもの。17年前の阪神・淡路大震災にはまったくなかった中小業者を対象とした補償の確立と活用が相次いで前進しています。県連は「制度の拡充とともに、新たな募集にも挑戦を」と呼びかけています。

 創設された中小企業への支援策は、国が実施する「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」と、製造業、商店、商業活動再開、観光施設再生を目的とした宮城県の四つの支援事業。
 県連の調べによると、昨年末までに民商会員はグループ事業で8億7260万円、県の四つの支援事業で1億5967万円の補助金を獲得。認定された事業所数は、63社に上っています(表参照)。

民商での補助金活用実績

気仙沼本吉民商がグループ補助獲得

 グループ支援事業の認定を受けたのが「気仙沼地区住環境復旧復興支援プロジェクト」。建築業を営む気仙沼本吉民商会員などの12社で、計2億1000万円の補助金が交付されました。建築業グループの認定は初めてのことでした。
 同プロジェクト代表は「3回目の申請でやっと認められた。本当にうれしい」と万感の思いで振り返ります。大震災で妻と従業員1人を失い、自宅も事務所も重機も工具もすべて津波にさらわれ、何も考えられない時期もありました。「何かをやろう」と自らを奮い立たせた昨年6月23日、事業再建のためグループ事業への申し入れを民商から提案されました。
 書類提出の締め切りは翌日。事務所も機械も流された同プロジェクト副代表の二人で挑戦、膨大な書類を作成したものの結果は不可でした。8月の2次募集には仲間を5社に増やして再挑戦。しかし、結果は同じでした。
 なぜ認定されないのか―。受付窓口の県に何度も出向きましたが「地域を担う基幹産業でないとだめ」というのが県の言い分。「建設業を地域の基幹産業としてはなから認めていなかったんですよ」。
 あきらめてたまるかと民商や日本共産党の大門実紀史参院議員のバックアップを受け、10月に3度目を申請。
 そして12月中旬、交付が正式決定。「民商がなければここまでこれなかった。建築業は地域経済の基幹産業。みんなと一緒に被災者が安心して暮らせる住宅をつくりたい」と力を込めました。

県単独補助事業で石巻民商が説明会

 グループ補助とともに、県単独の四つの補助事業に力をいれたのが石巻民商です。
 県の事業申請の受付開始日に「説明会&書き込み会」を開催し、40人が参加しました。事業申請した42人のうち25人が認定されました。
 東松島市で精密加工部品をつくる工場もその一つ。親子2人で仕事をやりくりしています。震災で工場も自宅も2メートル近く浸水。2000万円以上の借入金の返済が終わった直後のことでした。震災後、「おれがやっから」と事業継承を決意。民商を通じて県の補助事業を知り、書類を書き込み、1200万円の補助金が交付されました。「これで新しく購入した機械の返済もできる。民商の会員で良かった。ありがたい」と親子で語ります。
 同市内の民宿は800万円余の補助金交付が決定しました。海に面していた民宿は大きな被害を受けたものの、奇跡的に残りました。
 「修理代だけで2000万円以上。補助金が出れば助かる。すぐに相談に乗ってくれたのが民商です」と笑顔が戻りました。
 石巻市内で創業80年になる菓子屋さんも200万円の補助金の交付が決定しました。3代目夫婦が経営。震災で駅前にあった工場・店は跡形もなくなりました。「もうやめようか」。そんな思いが頭をよぎったことがありました。しかし、お客から励まされ、テレビに映ったことがきっかけとなって、4月には再開を決意。新しく開いた駅前の小さな販売所はお客の列ができるほどにぎわっています。
 「再開のために3000万円以上のお金がかったけど、それだけに補助金は助かります。売り上げは震災前以上。本当のおもちを食べてもらってみんなに元気になってほしい」と言葉を弾ませます。

▼被災事業補助事業
◆中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業 被災した中小企業がグループをつくり復興に向けた計画を作成し、県の認定を受けた場合、費用の4分の3(国2分の1、県4分の1)を補助するもの。
◆県単独の四つの補助事業
 卸・小売・サービス・運輸、製造業、旅館・民宿などを対象にしたもので、いずれも補助内容は復旧費用の50%。下限はいずれも100万円。

全国商工新聞(2012年1月30日付)
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