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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2987号 8月22日付
 
 

悲しみ乗り越え営業再開 民商が融資応援

 東日本大震災で大きな被害を受けながら、事業再開に向け足を踏み出している中小業者がいます。その原動力となったのは「やっぱり商売が好き」。そしてお客からかけられた「みんな待っているよ」の温かい言葉と民商の後押しでした。

「待っていてくれるお客さんがいる」=岩手・宮古

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「ここが私の居場所よ」と話す大洞さん

 「きょうはどんどん飲んでね」―。7月15日、新しくオープンしたスナック「ひじり」の店内に大洞敦子さんの声が響きました。震災から4カ月。カウンターの中に久しぶりに立った大洞さんはつぶやきました。
 「やっぱりここが私の居場所なのよ」
 宮古市内で店を始めて18年。年中無休、そして手料理を次々と出すのが「ひじり」のスタイルでした。週3回透析に通う実母と実兄の暮らしを「ひじり」が支えてきました。
 その暮らしが地震と津波で一変。高台にあった自宅は無事でしたが、店は天井近くまで波につかりました。壁の中にまで入り込んだ汚泥、倒れた冷蔵庫、散乱したボトル…。大事にとってあったお客さんの名刺もすべて流されました。
 「店は元に戻るのか」。思い悩む日々に、「もう年だから…」との思いもよぎりました。
 その一方、民商役員として津波の難を逃れた民商事務所に詰め、支援活動に取り組む日々が続きました。毎日の炊き出し、全国から届く物資の仕分け。地域に支援物資を届ける“お届け隊”では市内40カ所を回りました。「これで元気をもらえました。家の中に閉じこもっていたら、おかしくなったかもしれない」と振り返ります。
 物資を届ける大洞さんに常連客から声がかかりました。「母さん、早く店をやって」「行くところがないよ」。励ましの電話もメールも届きました。
 「待っていてくれるお客さんがいる」

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4ヶ月ぶりに再開した「ひじり」で「カンパーイ」

 震災から1カ月、大洞さんの迷いはなくなりました。
 震災前に入居していたビルは解体が決まったため、大家と相談し新しい入居先を確保。税金の滞納を理由にいったん断られた融資も民商と相談し、政策公庫から150万円の資金を引き出すことができました。新しい店の水回り、棚作りは村上亨副会長が工事。なんとかオープンにこぎつけました。
 再開を祝って集まった民商の仲間15人で「カンパーイ」。大洞さんの目にも涙があふれました。「民商が私の心の支えになった。そしてお客さんの声も。だから頑張らなくちゃ」。泣き顔が笑顔に変わりました。

全国商工新聞(2011年8月22日付)
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