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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2972号 4月25日付
 
 

「必ず立ちあがるっぺ」全国の力をひとつに営業再開、町の復興へ

全商連、共済会三役が被災民商を激励訪問

 東日本大震災から1カ月が過ぎ、被災地では懸命な救援活動が続いています。全国商工団体連合会(全商連)と全商連共済会の三役は7日、宮城県を訪問・視察。営業再開、町の復興をめざす石巻民主商工会(民商)の役員と懇談し、「全国の仲間と一緒に、必ず立ち上がろう」と励ましました。併せて岩手、宮城、福島県庁を訪ね、全国から寄せられた義援金を手渡しました。

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スクラムを組んで再起を誓った国分会長(左から4番目)石巻民商の渡辺会長(その右隣)、と役員ら

言葉失う被害
 三役がバスで向かったのは石巻市。車窓から見えるのは乾いた灰色の泥が建物や道路、田畑を覆っている町の光景です。道路沿いの店舗や事業所では泥を洗い流す作業が続き、至る所にガレキが積み上げられています。大津波の爪痕を目の当たりにした三役は言葉を失いました。
 石巻民商の事務所に着くと、婦人部長の菅原恵美子さん=電気工事=がおこわと温かいみそ汁を作り、渡辺金夫会長=電気工事=をはじめ役員・事務局が迎えました。明るい笑顔にホッとする三役。全商連の太田義郎副会長は、自分の店でついた10キロの餅を手渡しました。

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会員の被災状況
 震災当日、事務所は2メートル近い津波が押し寄せ、建物は無事だったものの1階は水浸し。震災から5日目にようやく水が引きました。
 ガソリン不足などで交通手段が奪われる中で「とにかく事務所の掃除を」と3月24日、役員が集合。ヘドロをかき出し、高圧洗浄機で洗い流して事務所を使えるようにしました。それから連日、役員・事務局が会員の安否を確認。事務所には全国から支援物資が寄せられ、「あったか民商」を実感しながら被災者に物資を届けています。
 佐々木寿朗事務局長が被災状況を報告しました。984人の会員のうち、無事が確認できたのは714人。51人の会員・家族が死亡、10人が行方不明、住居、工場、事務所が全半壊したのは660人に上ります(5日現在)。
 集まった役員も被災しています。
 副会長の阿部康將さん=中古車販売・修理=は沿岸部にある事務所は跡形もなくなり、30台の車もすべて津波で流されました。女川町で働いていた妻は行方不明に。避難所生活を余儀なくされ、つらさを必死に耐える長女を助手席に乗せて妻を探す毎日です。阿部さんは「事務所の跡地に残されたボルトやナットなどの部品を拾っていると、いろんなことが思い出される。元のように営業再建ができるのかと不安がよぎるが、お客さんから車を仕入れてくれと言われ、少しずつ仕事を再開している。全国の仲間の支援を受け、これから自分の力で、自分の足で立ち上がりたい」と声を振り絞って思いを伝えました。

一緒に頑張ろう
 胸が締め付けられる思いで聞いていたのは全商連の磯谷吉夫副会長。16年前の阪神淡路大震災で被災し、その傷痕は今も残っています。「復興には時間がかかるけど、民商があって仲間がいれば必ずよみがえる…」と声を詰まらせました。国分稔会長も被災者への思いが込み上げ、「心配しながら視察に来たけど、みんなの明るい笑顔が見られて本当に良かった…。一緒に頑張りましょう」と目頭を押さえながら激励しました。

再起を誓い合う
 民商の渡辺会長は「これから商売人として再建できるのか、瀬戸際に立たされている。新たな借金を抱えるのもつらい。事業を続けられるかとみんな悩んでいる。状況は厳しいけど、全国の仲間から支援を受け、全商連60周年に向けて必ず立ちあがるっぺ」と力強く決意を表明。三役、民商の役員とスクラムを組んで再起を誓いました。

岩手、宮城、福島の県庁に義援金

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若生副知事(左)に要望を申し入れる国分会長と岡崎事務局長(右から2人目と3人目)

 全商連三役は8〜9日、手分けして岩手、宮城、福島の県庁を訪問。全商連に寄せられた義援金を手渡しました。
 宮城県庁には全商連の国分稔会長、岡崎民人事務局長、宮城県連の伊藤貞夫会長、県婦人部協議会(県婦協)の池原亮子会長、仙台民商の木村恵保会長らが訪問。若生正博副知事が応対し、「ありがとうございます。有効に使わせていただきます」と感謝の言葉を述べました。
 国分会長は「今回の大震災と津波の被害で中小企業や漁業者は壊滅的な打撃を受けている。復興に向けて、被災前の負債は免除し『ゼロからの出発』を可能にするなどかつてない施策が必要」と要望。若生副知事は「金融機関の債権問題は難しい面はあるが、マイナスからの出発にならないよう国に強く要望したい」と答えました。
 今後の生活再建については「何で生計を立てるかを考えれば、雇用の問題に突き当たる。復興ビジョンで方向性を示すことが大事。4月中旬にたたき台を示して意見を聞きたい」と話し、中小企業の仕事確保の問題では「がれき撤去や仮設住宅建設の下請けに地元業者を使うように指導している。機材などのリースも考えたい。工場や店舗、漁船への支援も国に求めたい」など要望を積極的に受け止めてくれました。
 懇談後、国分会長らは県庁内で記者会見を開き、「中小業者の経営再建を支えるかつてない施策を実施すること。復興財源は庶民増税ではなく244兆円に上る大企業の内部留保などを活用すること」などを訴えました。

全国商工新聞(2011年4月25日付)
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